2023年3月23日 モビリティ業界注目ニュース
ここでは、世界中の自動車およびモビリティ市場におけるトレンドのニューストピックを紹介します。
モビリティ業界の興味深いニュースを3つ厳選し、この分野の最新動向をスピーディーに理解していただくために、情報を簡潔で分かりやすい形式で紹介していきます。海外メディア等からのニュースも取り上げて参ります。
― 今週の3選 ―
March 20, 2023
1.フォルクスワーゲン、世界的なバッテリーサプライヤーになるため鉱山に投資へ
フォルクスワーゲン(VW)は、電気自動車(EV)用バッテリーの世界的なリーディングサプライヤーとなることを目指し、主要原材料の安定供給のため、EV用バッテリーの製造に必要なリチウムやコバルトなどの金属を抽出する鉱山に投資する計画を発表しました。これは、同社の生産計画に支障をきたすようなサプライチェーンの混乱を将来的に回避することを目的としたものです。この戦略は、自動車メーカーが電動化目標を達成するために緊急に必要となる希少な資源を奪い合う中で、エネルギー生成から原材料調達まで、従来は第三者に委ねられていたサプライチェーンの一部をよりコントロールしようとする幅広い傾向に沿ったものであると言えるでしょう。
バッテリーも生産する中国のBYDは、手頃な価格のEVレースでフォルクスワーゲンを大きく引き離しており、2月には中国で4カ月ぶりにドイツの自動車メーカーを上回る売上を記録しました。
EVの低価格化を目指すフォルクスワーゲン、テスラ、ステランティスなどの自動車メーカーにとって、バッテリーを適正価格で入手することは課題となっています。
こういった背景を元に、電池のコストをさらに下げるため、あらゆる手段を駆使していくと、VW技術担当取締役であるThomas Schmall氏は述べています。
March 21, 2023
2.トヨタ新社長、水素と電気自動車を倍増させる
トヨタ自動車は、将来の環境に優しい自動車を見据え、水素と電気による駆動を倍増させようとしています。
4月1日に豊田章男氏の後任としてトヨタのCEOに就任する佐藤氏は、オートモーティブ・ニュースの東南アジア特派員ハンス・グライメル氏に、「水素が現実的な選択肢であり続けることを確実にしたい」と語りました。
Automotive Newsによると、トヨタは、液体水素の運搬船を建造している工業大手の川崎重工業やエネルギー企業の岩谷産業と連携し、水素自動車が日本で普及した際に、より良いインフラを提供することを目指しています。
水素を使って燃料電池で発電し、電気モーターを駆動するトヨタ・ミライは、2014年から2世代にわたって生産されており、同社は水素燃料で走るガソリンエンジンの開発も行っています。
トヨタは2021年初頭から、ガソリンエンジンを搭載した試作車を多数発表しており、気体や液体である水素で走行できるように改造し、排気管からの排出ガスをほとんど出さないようにしています。
February 1, 2023
3. EVバッテリーのリサイクルを変える新素材を、米研究所が開発
米ローレンス・バークレー国立研究所の研究チームは、リチウムイオン電池のリサイクルを従来の10分の1のコストで安全に解決できる可能性のある新素材を開発したと発表しました。リチウムイオン電池のセルは、電気を流す正極と負極を、接着剤のようなバインダーで固定していますが、同研究所が開発した新素材は、市販されている2種類のポリマーから作ったバインダーで、水酸化ナトリウムを含む室温のアルカリ水に浸すと溶けだし、希少金属はこの溶液を濾過して回収し、空気乾燥させるとのこと。この方法であれば、焼却処理によって有害物質を放出する心配がなく、順調に進めば、2~5年以内にこの新素材をリチウムイオン電池に用いることが可能になるといいます。
今後10年間でリチウムイオン電池の生産量は年率30%ほどのペースで増える見込みであり、電池リサイクルビジネスも10年で非常に大きく成長することが期待できると、同研究所シニア・サイエンティストのガオ・リュウ氏は話しています。