モビリティ業界注目ニュース

ここでは、世界中の自動車およびモビリティ市場におけるトレンドのニューストピックを紹介します。

自動車業界の興味深いニュースを3つ厳選し、この分野の最新動向をスピーディーに理解していただくために、情報を簡潔で分かりやすい形式で紹介していきます。海外メディア等からのニュースも取り上げて参ります。

― 今週の3選  ―

April 10, 2023

1.完全自動運転の時代はいつ実現するのか?

完全自動運転で目的地まで安全に到着できる時代を、近い未来実現できると予測していたのは数年前。しかし、研究開発に数十億ドルを費やしても、完全自動運転の技術は人間の運転手に取って代わるほどには未だ進歩していない。そのため、一部の自動車会社や技術系スタートアップ企業は、その予定の調整に追われている。例えば、10月にはフォード・モーターとフォルクスワーゲンAGがドライバーレス・カーの会社アルゴAIを閉鎖し、フォードのジム・ファーリーCEOは完全自動運転の開発は長い道のりになることを認めている。

SAE Internationalでは、レベル5の完全自動運転の実現に向け、人間レベルの人工知能を実現することが課題となっており、この目標を達成するための一般的な理論は今のところ存在していない。

近い将来、自動車に完全な自律性を期待するのは難しく、代わって、より限定的なソリューションが早期に展開されることになると予想されている。また一方で、自動運転車の技術レベルは進んでいるものの、コストが重要な課題として残る。

運転機能の自動化には人工知能が不可欠だが、犬が車の前を走ったり、工事現場で車線がずれたりするような突発的な状態において、すべてのエッジケースをカバーできるわけではない。AIは推論ができないため、ニューラルネットワークはエラーマージンを最小化するために何百万もの事例を必要とする。

完全自動運転の未来は有望でありつつも、人間のドライバーと完全に置き換えるには、まだ長い道のりがあり、段階的な開発と限定的なソリューションが主流になると思われる

April 7, 2023

2.トヨタ新CEO、EV計画を調整するもハイブリッド路線にこだわる

トヨタ自動車の新CEOに選ばれた佐藤幸治は、自動車メーカーを過去から現代に引き戻すことを使命としている。2026年までに電気自動車を150万台販売し、金曜日に10車種の新型EVを導入する計画を発表した。

昨年1,050万台以上を販売したトヨタは、3年連続でフォルクスワーゲンを抜いて世界最大の自動車メーカーの座を維持。トヨタは長年ハイブリッド車の推進者であったが、BEVの導入は遅々として進んでおらず、佐藤氏は、2月から就任する際に、新しい事業構造と戦略を導入する計画で、トヨタのEVへの取り組みを後押しすることを明らかにし、”今こそ、新しいアプローチでBEV開発を加速させる “と主張した。

断続的な目標として、トヨタは2019年を基準に、全世界で販売する車両のCO2排出量を2030年までに33%、2035年までに50%以上削減することを発表。加えて、中島宏樹副社長は、2026年までに新たに10台のバッテリー電気自動車を導入し、年間150万台のEV販売に相当するなど、同社の新しい電動化戦略について説明した。

また、「現在とはまったく異なる」新世代のBEVが航続距離を2倍に伸ばすと主張した後、新しいEVプラットフォームが登場する可能性を示唆した。

一方、トヨタはハイブリッド車や燃料電池車を含む「マルチパスウェイ・アプローチ」にこだわっている。プラグインハイブリッド車のバッテリー効率を高め、EV走行距離を124マイル(200km)以上に伸ばすと述べた。燃料電池車については、トヨタは商用車を中心に量産を進めている。

April 6, 2023

3. パナソニック、Amazon、Stellantisと車載システムで提携

パナソニックは、アマゾンおよび世界第4位の自動車メーカーであるステランティスと提携し、アマゾンの音声アシスタント技術「Alexa」を利用した新しい車内システムを開発した。2024年からステランティスの新車に搭載される予定のこのシステムは、ドライバーや乗客が音声コマンドを使ってエアコン、ナビゲーション、エンターテインメントなど車の様々な機能を操作できるようになる。

パナソニックは長年、自動車用バッテリーやその他の部品の主要サプライヤーでしたが、現在は車載用エレクトロニクスやソフトウェアなど、他の分野への多角化を目指しており、今回の提携は同社の自動車産業におけるマーケット拡大において、重要な動きである。

また、アマゾンにとって今回の提携は、Alexaの普及を家庭だけでなく、車や職場など他の環境にも拡大するための新たなステップとなる。

ステランティス社にとって、パナソニックとアマゾンとのパートナーシップは、新しい技術を取り入れ、急速に変化する自動車市場で競争力を維持するための幅広い取り組みの一部。同社は今後数年間、電気自動車や自律走行車に多額の投資を行う計画で、カーシェアリングやサブスクリプションサービスなどの新しいビジネスモデルも模索している。