自動車部品メーカーからの転職|キャリアプランと転職方法を紹介

自動車業界で働く人は、「クルマが好きで関われることが面白い」、「日本のクルマにプライドを持っている」など、自動車業界に何かしらの興味や魅力を感じていることが多いのではないでしょうか。
しかし、実際に働いてみると理想と違ったり、将来性に不安を抱いたりなど、さまざまな理由で転職する人はいます。
そこでこの記事は、自動車部品メーカーからの転職に関して取り上げます。自動車業界から転職したい理由や転職先の選択肢、転職を成功させるポイントや転職方法を紹介します。
自動車部品メーカーからの転職を考えている人や、現状に漠然とした不安を感じている人は、ぜひ参考にしてください。

1. 自動車業界の現状と将来性

日本の基幹産業である自動車業界には、非常に多くの人たちが携わっています。現代社会においてクルマは無くてはならないものであり、成熟市場ではあるものの、クルマの需要は継続して安定しています。
そのため、自動車部品に関しても安定したニーズがあり、今後も人がクルマを必要とする限り、需要はあると言えるでしょう。

しかし、現在、CASEという大きな変革により、自動車業界は大きな転換期を迎えています。近い将来、クルマそのものの在り方が変わり、業界を取り巻く環境や社会の在り方までもが一転しようとしています。
自動車メーカーは、自動車を大量生産して販売する従来の業態から、自動車関連サービスを提供する業態への変革が求められており、これに対応できるか否かが企業の今後を左右することでしょう。
また、他にも、蔓延的な人手不足や新興国への販路開拓、自動運転の実用化に対する障壁など、解決すべき課題は山積しています。企業は時代の流れに合わせて、こうした課題に柔軟に対応する必要があります。

CASEとは?
Connected Autonomous Shared Electricの略で、コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化の意味。

・コネクテッド:自動車がインターネットに常時接続した状態になる
・自動運転:クルマは自ら運転するものではなく、自動運転になる
・シェアリング:クルマを個人が所有するのではなく、複数名で共有する
・電動化:ガソリン車やハイブリッド車から電気自動車(EV)への移行

2. 自動車業界から転職したい!よくある転職理由

自動車業界から転職したい主な理由として、以下の3つが挙げられます。

    1. 現在の会社の将来性が不安
    2. 仕事やスキルアップの幅が限られている
    3. 給与が上がらない、評価制度など企業文化が古い

♦ 現在の会社の将来性が不安

一つ目は、現在働いている企業の将来に不安を感じて転職を考えるパターンです。前述の通り、自動車業界は今、過渡期を迎えています。メーカー間の競争は激化し、海外進出など生き残りをかけて工夫をする一方で、価格競争のしわ寄せが下請け企業に向けられるなど、問題も蓄積されています。特に電動化による影響は大きく、約3万点あった自動車部品は、約2万点へと減少し、これまでに確率してきた生産体制に変化が求められています。
そんな業界全体の傾向、あるいは企業の運営方針に失望して、異業種に活躍の場を求める人材は増えています。

♦ 仕事やスキルアップの幅が限られている

日本の自動車部品メーカーは、企業規模が大きなところが多く、職種や役割が細分化されているケースがほとんどです。個々の担当業務は細かく決められていて、その中で最適を求められます。そのため、その業務範囲内でのエキスパートになることはできても、業務範囲外での幅広いスキルは身につきにくくなります。
担当業務に物足りなさを感じたり、キャリアの限界を感じたりしている人にとって、転職がそれらを実現する道となるケースがあります。

♦ 給与が上がらない、評価制度など企業文化が古い

日本の自動車部品メーカーは日本経済を支えてきた産業。その歴史は古く、いまだに昔特有の体質を残している企業も多くあります。年功序列制度や給与に反映されない評価制度、あるいは縦のつながりを重んじる風潮などに疑問や不満を抱き、転職を考える人も少なくありません。

近年、ジョブ型雇用が進展していますが、それでもな年齢による年収幅が制約され、給与の上昇が期待できない現状があります。一方で、海外の自動車メーカーではIT人材を引きつけるために給与レンジを大幅に引き上げる動きが見られ、公平な評価制度を求め、日系企業から外資企業への転職も目立ちます。

3. 自動車(部品)メーカーから他業界への転職は可能か?

前述の通り、自動車メーカーでは、細分化された仕事の中でキャリアを積みあげていくケースが多く見受けられます。そのため、ある分野のエキスパートとして高度なスキルを持った人が多く、他の業界・業種でも十分通用することは明白です。
たとえば、自動車部品の設計・開発の経験者は、他業界の電子・機械部品の設計者として活躍できます。また、最新技術を採用した効率的な業務プロセスは多くの企業が参考にしたいもの。そのため、生産管理やプログラムマネジャーなどの経験者は、製造業向けのコンサルティングやIT化ソリューションなどを提供している企業からの需要があります。
このように、自動車業界での経験やスキルを活かせる場は、自動車業界だけに絞られません。異業界・異職種でも十分通用すると自信を持って、転職にチャレンジできます。

4. 自動車(部品)メーカーから転職|キャリアの選択肢

自動車業界での経験やスキルがどう活かせるのか?具体的にイメージが沸かない人も多いでしょう。
ここでは、自動車部品メーカーからの具体的な転職先を紹介します。
年収を上げたい、キャリアアップを図りたいなど、希望に叶うキャリアプランの参考にお役立てください。

スタートアップやベンチャー

年齢:20-40代におすすめ

裁量を広げたい、挑戦してスキルアップを図りたい20-40代におすすめ。政府もスタートアップ育成 5か年計画で補正予算を1兆円に増加しています。国内スタートアップの資金調達額も過去最高に増加し、2022年は計8774億円が集まっています。海外ではTeslaなどの電気自動車メーカーや自動運転関連企業のスタートアップ企業が続々と出現しており、日本でもジョブ型雇用が重視され、実践スキルを身に着ける環境としてもおすすめです。

<抑えておきたいポイント>
特に自動車やモビリティ関連のスタートアップ企業は、成長スピードが早い点が特徴です。事業統合や買収などの可能性もあるため、入社時のポジションに関係なく業務範囲が変わることもあります。そのため、そうした変化に対応していける柔軟さが必要です。

コンサルティングファーム

年齢:20代-30代におすすめ
短期間でスキルアップをしたい、給与を上げたい人におすすめ
自動車メーカーでの経験を求めている企業も多く、今後のキャリアの幅も広げられる

<抑えておきたいポイント>
特に戦略系のコンサルファームでは、決まった期間で成果を出すことが求められるため、企業によっては残業が多い点がデメリットです。一方で、優秀な上司や同僚と濃密な時間をシェアして経験を積むことで、短期間で給与を上げ、スキルアップを図れる点は大きなメリットになります。

外資系企業

年齢:20代―50代
英語を活かしたい、公平な評価制度で給与を上げたい人におすすめ
50代でも多くの転職チャンスあり

<抑えておきたいポイント>
外資系企業は即戦力となる人材を求めることが多く、中規模サイズ以下では、研修が充実している企業は多くありません。そのため、20代などはキャリアが浅いことがネックになることは事実ですが、何か一つでも「強み」を持っていれば、若さが逆に有利になるケースはあります。

IT業界

年齢:20代―50代
IT関連の知識を活かしたキャリアアップが可能
特に電気・電子やソフト関連の経験がある場合は、IT業界でより高い年収を狙ったり、専門性を高めたりできる

<抑えておきたいポイント>
IT業界では、企画関連や営業関連でもIT関連の経験が求められることがあります。現時点で、経験がない場合は、電気系やコンサルファームなどで経験を積んでからIT業界に挑戦するというのも一つの手です。

5. 自動車(部品)メーカーからの転職を成功させるコツ

自動車部品メーカーからの転職を成功させるためには、いくつかのポイントを抑える必要があります。転職活動を進める際の参考にお役立てください。

どんな点で貢献できるのかを明確にする

中途採用には、基本的に即戦力を求めています。以前は、業界を跨ぐと、業界経験がないことで年収が上がらないといったケースも見られました。しかし近年では、これまでの経験・スキルを活かして、企業が抱える課題解決に貢献できる点をアピールすることで、業界・業種に関係なく転職することが可能です。
まずは自分のスキルや強みの棚おろしをし、具体的に「どのように企業に貢献ができるか」を明確にしましょう。
「この人が入ってくれれば、こう変わりそう」と、採用側が明るいビジョンを描けるようにすることが重要です。

年収が下がってしまう場合でも辞退する年収ラインは明確に決めておく

転職によって年収は上がることもあれば下がることもあります。転職先が求める条件に対して経験やスキルは満たなかったり、役職が下がったりする場合には、年収が下がるケースがよくあります。
もちろん、年収を下げてでも、経験を積むことで長期的により良いキャリアが目指せるケースや、ワークライフバランスが整うケースもあります。しかしながら現実的に、年収が下がることで生活の質が下がったり、最悪の場合、生活が成り立たなくなったりする可能性もあります。
お金の問題はシビアに考えるべきです。事前に、「辞退する最低年収のライン」を明確にしておきましょう
そのラインを下回るオファーであれば、無理に転職することはせず、より自分にマッチした納得いく転職先を探すことをおすすめします。

転職エージェントを利用する

情報収集がカギを握る転職活動には、多くの労力と時間を要します。それらを働きながらこなすのは負担が大きいもの。限られた時間の中で転職活動を成功させるために、転職エージェントを活用するのは一つの手です。
転職エージェントを活用すれば、自分の要望やスキルに合った求人の紹介だけでなく、面接対策など転職活動に必要なさまざまな指導やアドバイスを受けることができます。
Turnpoint Consultingは、自動車業界をはじめIT・テクノロジーやモビリティサービス業界に特化した転職エージェントです。業界の年収平均や競合との年収、業界の最新動向なども踏まえたアドバイスが可能です。
面談による丁寧なヒアリングや、面接を確実に結果につなげていくための面接対策など、求職者に寄り添った手厚いサポートで、求職者を理想の転職へと導きます。

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6. 最後に

現在、大きな転換期を迎えている自動車業界は、先行きが不透明な状態です。そんな中、今勤めている企業、あるいは部品メーカー全体の将来性に不安を感じるという方も多いことでしょう。

自動車部品メーカーでの経験やスキルを活かせる場は、広くあります。

将来性の高い業界や企業で働きたい、年収をアップしたい、環境を変えたいなど、現在の職場では叶えられない希望や条件が整った転職先を探し、日々の生活をより充実させてみてはいかがですか?

監修:ターンポイントコンサルティングメディアチーム(担当:近藤 真太朗)
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