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生産技術エンジニアの仕事とは

1. 自動車業界における生産技術エンジニアとは

車両製造における生産技術エンジニアは、内装やシャーシ、バッテリーなど様々な部品を組み立てるための製造装置および生産プロセスの構築と改善を担当します。
生産技術エンジニアは、製造装置や生産プロセスの改善に加えて、製品ライフサイクル全体を通じて、設計、品質など部門横断的なチームと連携して業務を行います。

生産設計の変更から新しい生産モデル設計、製造効率の改善を目指し、最初のコンセプトからプロトタイプ開発を通じて最善の生産工程を目指します。
決められた納期に間に合うよう、高品質かつ低コストで製品を生産していく必要があり、一般的には在庫、納期、工程を一元管理できる生産管理システムを用いて管理されています。

2. 進む生産工程の自動化

電動化に伴い、バッテリーなど原料価格は上がり各メーカーは、コスト削減の見直し業務改善を進めています。
生産工程においても、人員を削減しつつ、品質を落とさずスピーディーな生産を実現するため自動化される工程がより増えてきています。コンサルティング企業による自動車メーカー向けDX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトも近年盛んに行われており、キャリアパスとしてコンサルティング企業で視野を広げ様々な製造工程に関わるのも選択肢の一つです。

DXでは、実際にエネルギー使用料や限られた時間での製造可能数をデータとして集めることで『見える化』を進めたり、IT技術を導入し、生産効率を上げるための改善が行われています。

ダイフク社における自動化・省人化システム
センサーを活用した生産プロセスの自動化一例オートニクス社

3. スマートファクトリーとは?

スマートファクトリーは、生産工程における生産性の改善だではなく、設計から製造、品質・保守管理までのプロセスを変革した技術が用いられ、様々な最新技術を組み合わせた工場を指します。

電動車へのシフトが急がれる中、内燃機関車に比べて部品数は減り、生産工程も大きく変化が求められています。溶接や塗装工程における自動化だけでなく、タグを内蔵させて組み立てまでの自動化を進める企業も増えてきています。デジタルデータをいかに活用し、効率よく高品質な製品を製造していくかが自動車メーカーにおける競争の鍵となっています。

4. 抑えておきたい生産方式

♦ トヨタ生産方式|TPS=Toyota Production System

トヨタ生産方式は、モノづくりの原点になったノウハウです。モノづくりに関わる方は必ず抑えておきましょう。二つの考え方を柱として確立されており、ムダ、ムラ、ムリを徹底的になくし良いものだけを効率的に造るヒントが学べます。

      1. 自働化=「異常が発生したら機械がただちに停止して、不良品を造らない」という考え方(トヨタではニンベンの付いた「自働化」といいます)、
      2. ジャスト・イン・タイム= 各工程が必要なものだけを、流れるように停滞なく生産する考え方(「ジャスト・イン・タイム」)

参考:トヨタ生産方式

♦ リーン生産方式

リーン生産方式は無駄を排除することに焦点を当てた生産手法です。トヨタ生産方式(TPS)を元に考えられた原則と言われています。

顧客にとって付加価値のない無駄を排除し、生産プロセスのムラをなくし、生産の流れをスムーズに向上させることに重点しています。”7つの根本的な無駄” と呼ばれる7種類の無駄を定義しています。

  • 過剰生産
  • 欠陥品の生産
  • 生産中断などの無駄な時間
  • 物理的な移動のムダ
  • 在庫のムダ
  • 輸送のムダ
  • 過剰処理

リーン生産方式ではこのようなムダを排除することに焦点を当てています。

参考:CGMA

5. 生産技術の英語表記は?求められる英語力は?

求められる英語力ですが、日系企業でも海外工場の設立や生産現場に外国籍の同僚がいることは一般的になってきました。ビジネスレベルまでは求められることはない場合でも基本的な読み書きレベルは必要になってきています。また、昇進にあたってもマネジメントにあたって英語力がある方がチャンスは広がるでしょう。外資系では、システムのマニュアルや社内コミュニケーションなど日本国内の生産工場でも英語力はビジネスレベルが求められる企業が増えてきています。

<生産技術エンジニア関連するポジションの英語表記>
    • 工場長、工場管理=Plant Manager/Factory Manager
    • 生産技術エンジニア=Production Engineer (PEと略されることもあります)/Process Engineer
    • 製造技術エンジニア=Manufacturing Engineer
    • メインテナンスエンジニア・フィールドエンジニア・サービスエンジニア = Maintenance Engineer
    • 生産管理=Production Control
    • 生産企画= Production Planning

6. 必要な経験やスキルは?

・機械設計ツールを使用した開発経験:SolidWorks、CatiaなどのCADツールを使用した機械設備の開発経験が求められることがあります。生産ラインの設計において、工作機械の設備設計の必要があるため機械工学の知識や機械設計ツールの使用経験が頻繁に求められます。

PLC- Programmable Logic Controller の経験:PLCは機械をコントロールするための装置で、プログラミングすることで動かしたいように指示をすることが可能になります。面接では、どのPLC機器を扱ったことがあるかが問われることがあります。主にPLCを扱うメーカーは3社あり、職務経歴書を作成する際にどのPLC機器を使用した経験があるかも記載すると良いでしょう。

1.三菱電機株式会社:シーケンサというPLC機器を販売しており、最も有名なPLC機器です。
参考:Programmable Controllers MELSEC

2.Siemens(シーメンズ):ドイツメーカーで自動車業界においてPLCだけでなく高いシェアを持っています。
参考:SIMATICコントローラー

3.オムロン株式会社:制御のプログラミング言語をC言語やPC系アプリケーション開発のソフトウェア言語でも扱えるようにしてあります。
参考:Programmable Controllers

・計画力:多数のタスクを整理し、優先順位をつけ、日々の業務ニーズを満たすために実行計画を立てることが求められます。

・コミュニケーション能力:設計や品質部門との密なコミュニケーションが、高品質かつ問題のない製品を生産することに求められます。また、実際に生産工程において発生した問題や現場からの意見をキャッチし改善につなげていく必要があります。バッテリー開発など、自動車業界においても海外メーカーとの共同開発も進んでおり、海外生産拠点があるグローバル企業や外資企業に留まらず、外国人とのコミュニケーションは今後より求められてくるためビジネスレベルの英語力を身に着けておく必要があります。

・人間工学に関する知識:効率の良い生産工程を開発するために、人間にとって働きやすい職場を実現し、安全で使いやすい道具や機械をつくることに役立つ実践的な科学技術です。外資企業では、求人票で目にすることもあります。

<資格>

  • CAD利用技術者試験
  • 計算力学(CAE)技術者資格認定
  • 生産技術マネジメント認定
  • 電気機器組み立て技能士(シーケンス制御作業)
  • 機械保全技能士(電気系保全作業)

7. 将来性は?今後求められる人材になるためには?

生産技術エンジニアとしての将来性ですが、生産工程における自動化やビッグデータの活用などで仕事がなくなるのではないかと懸念する必要はありません。重要なのは、自動化など生産技術の効率化に伴う改善に関連する経験やスキルを変化と共に身につけていくことです。

日本全体で製造業は人手不足が続いており、現時点でも生産技術エンジニアは貴重な人材です。自動車業界においても、十分な人手を確保できていない企業も多いのが課題となっています。

 

ビッグデータの活用や自動化へとシフトする中で、従来の生産技術経験を活かし、データを活用した自動化のプロセス構築ができる人材が必要とされます。もし、現在の会社の生産過程においてこのような時代の流れに合わせた改善や自動化へ向けた取り組みが始まっていなければ、ぜひイニシアチブを取り積極的に経験を積みましょう。また、各製造業においてトレンドになっている「機械学習」に関連する知識をつけたりと、意欲的に変化に合わせた学習が求められています。

そのような、経験やスキルアップが現職で不可能と感じる場合は転職も選択肢の一つです。求人情報を見ることで、直近で求められているトレンドを抑えたり自身のキャリアアップにおけるヒントが見つかる場合もあります。

転職エージェントは、様々な企業の生産技術エンジニア求人を取り揃えており市場で求められているスキルや経験を把握する上でも転職希望者にとって強い味方となります。Turnpoint Consultingでは、日系外資メーカーでの上記に挙げた職種や英語を伸ばしていきたい方に向けた求人情報などを取り扱っております。自動車・モビリティ業界における圧倒的な業界知識をもとに、求職者を丁寧にサポートし、理想の転職へと導きます

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