輸入二輪車メーカー市場動向|現状と今後の展望

1. はじめに

日本の二輪車市場は豊かな歴史と継続的に変化し続けてきました。この記事では、日本市場における二輪車市場の動向を探るとともに、特に輸入二輪車に焦点を当てて調査してみます。長らくの間、二輪車市場全体の販売台数は減少傾向にありましたが、直近5年の販売データからは、バイクへの人気が再燃しつつある兆しを捉えることができます。この記事では、その背後に潜む要因や市場の未来に向けた見通しについて探求します。

2. 二輪車販売台数の推移

日本市場における二輪車の販売台数について、歴史的な推移を振り返りましょう。1980年代には、50cc以下の原付を含む約230万台の二輪車が販売され、その後、1995年には120万台、2000年には82万台にまで減少しました。この間、日本の交通事情やライフスタイルの変化により、二輪車の需要が変動してきたことがうかがえます。そして、2013年には46万台に減少し、2019年には36万台まで販売台数が縮小しました。この減少傾向は長らく続きましたが、2021年、2022年には40万台まで販売台数が回復し、新たな兆しが見られます。

国内販売台数の推移(2013年-2022年)

新車二輪販売台数の推移 2012-2022

参照:日本自動車工業会のデータをもとに作成

国内メーカーに注目すると、ホンダがその地位を独走しており、2022年に約20万台を販売し国内全体の約50%を占めています。これは、2022年の国内のバイクのうち2人に1人はホンダ製のバイクを選んでいる計算です。ヤマハは約9万5千台、スズキは約4万6千台、川崎は約3万5千台と続いています。この競争状況からも、ホンダのバイクが圧倒的なシェアを持つことがうかがえます。

2022年国内メーカー別 新車国内出荷台数(推定値)

2022年国内メーカー別 新車国内出荷台数(推定値)

出典:二輪車新聞社

推移から見るトレンド

この販売推移を考察すると、社会状況の変化が市場動向に影響を与えていることが明らかです。例えば、YouTubeやInstagramなどのソーシャルメディアプラットフォームが普及し、バイク愛好者が気軽に自身のバイク体験や情熱を発信できる環境が整いました。これにより、『バイク女子』といった新たなトレンドが生まれ、多くの人々の目に留まっています。また、新型コロナウイルスの流行により、個人の趣味としてのバイクに対する注目度が高まり、バイクの需要が増加しました。このような社会的要因が、販売台数の回復に寄与していると言えるでしょう。

さらに、統計データを分析すると、国内市場での大型バイクの需要が増加しており、これが輸入二輪車市場にも影響を及ぼしています。大型バイクは高性能で洗練されたデザインを備え、多くのライダーから支持を受けています。そのため、大型バイクの増加は、輸入二輪車セグメントにおける成長に繋がっています。

3. 輸入二輪車メーカーの市場シェア

自動車工業会のデータによると2022年、日本市場全体の販売台数は40万台に達しました。この数字に対して、輸入二輪車が2万6千台を占め、市場全体の約6%を担っていることがわかります。同様に、乗用車市場でも輸入車は約6%のシェアを保持しており、日本市場が国産車を重視する傾向にあることが分かります。輸入二輪車の販売台数の推移を見ると、2022年には直近10年で最高の登録台数を記録し、2018年の2万台から約6000台増加しました。

輸入二輪車の内訳を詳しく見てみると、圧倒的なシェアを誇るのはアメリカのハーレーダビッドソンです。ハーレーは輸入車の中で10年以上にわたりトップを走り続けています。次いで、BMWMotorradが続き、特に2011年以降、販売台数が約2倍に増加しました。同様に、3位のイギリスのトライアンフも急速に販売台数を伸ばし、市場での存在感が増しています。輸入二輪車市場は、多様なメーカーとブランドによって支えられており、今後の成長が期待される分野と言えます。

輸入二輪車メーカーの市場シェア推移(2011年-20022年)

輸入二輪車の推移2011-2022

参照:JAIAのデータをもとに作成

輸入二輪車インポーター 一覧

• ビー・エム・ダブリュー株式会社

      • ビー・エム・ダブリューモトラッド

• BRP ジャパン株式会社

        • カンナム スパイダー
        • カンナム ライカー

• ドゥカティジャパン株式会社

      • ドゥカティ

• ハーレーダビッドソン ジャパン株式会社

      • ハーレーダビッドソン

• 株式会社カワサキモータースジャパン

      • ビモータ

• KTM Japan株式会社

      • KTM Austlia Flag
      • ハスクバーナモーターサイクルズ Austlia Flag
      • GAS GAS

• キムコジャパン株式会社

      • キムコ

• ピーシーアイ株式会社

      • ロイヤルエンフィールド

• ピアッジオ グループ ジャパン株式会社

      • アプリリア
      • モト・グッツィ
      • ピアッジオ
      • ベスパ

株式会社プロト

      • ベネリ

• ポラリス ジャパン株式会社

      • インディアンモーターサイクル

• トライアンフモーターサイクルズジャパン株式会社

      • トライアンフモーターサイクル
日本市場に本格参入していない注目のグローバル二輪メーカー
  • Hero Moto Corp(インド最大手)India Flag

インド最大の自転車メーカー『ヒーロー・サイクル』と本田技研工業の合弁会社であるヒーローホンダは、インドで最大手のメーカーに成長しました。現在は合弁を解消し、社名を『Hero MotoCorp』に変更しています。
現在もインドで最大手のオートバイメーカーであり、ホンダはインド国内で2番目のシェアを持っています。

  • TVSモーターカンパニー(インド) India Flag

2013年に500cc以下の内燃機関車開発の協力提携をBMW Motorradと結び、将来のEV共同開発においてもパートナーシップを結んでいます。

  • 江門市大長江集団(中国最大手)China Flag

1993年からスズキと技術提携を結び、二輪車の生産技術を供給しており、合弁会社も設立しています。

  • Gogoro (台湾)Taiwan Flag

バッテリースワッピングを武器に台湾で圧倒的なシェアを誇るメーカーで、国内においても住友商事と協業し、石垣島で実証実験を行っています。

併せて読みたい⇒「外資自動車メーカーの市場シェアを探る」

日本市場、アメリカ市場、ドイツ市場、中国市場における外資自動車(輸入車)メーカーのマーケットシェアについてまとめています。海外市場と比較した海外ブランド車の割合を比較すると日本市場での特徴が見えてきます。

4. 今後の展望

1.電動化の促進

世界的なトレンドとして、カーボンニュートラル(CN:Carbon Neutrality)の目標達成に向け、二輪車業界でも電動化が急速に進行しています。矢野経済の調査によれば、2030年までに、電動二輪車の普及率は最大27%にまで上昇すると予測されています。

電動二輪車は、騒音を抑え、ランニングコストが低く、四輪車と比較してバッテリー交換が効率的に行えるなど多くの利点を備えています。ただし、航続距離や車両価格などの課題も依然として存在し、これらの課題に対処することが求められています。特に、日本において電動二輪車の普及にはインフラの整備が不可欠です。日本でのインフラ構築においては、エネルギー会社と国内二輪メーカーの合意により『Gachaco』が設立され、充電ステーションの拡大が進められています。この動きは、環境への負荷を低減するための重要な一歩となっています。

輸入二輪車メーカーの電動化戦略においては、以下の通りです。

  • Harley Davidson
    2021年に独自の電動ブランドLiveWire を導入し、世界で最も魅力的な電動バイク ブランドになることを目標に、2022年にはAEA-Bridges Impact Corpとの経営統合を完了、新しくLiveWire Group, Inc.を設立しました。

参考:『Harley-Davidson – Our Strategy

  • BMW Motorrad
    2030年までに車両1台当たりのCO2排出量を2019年比で平均20%削減し、10万台の電動二輪車を販売することを目標にしています。2014年にC evolution を導入して以来電動二輪車の開発が進んでいます。

参考:『BMW Motorrad sustainability strategy | BMW Motorrad

  • Triumph Motorcycles
    Triumph Motorcycles、Williams Advanced Engineering、Integral Powertrain の e-Drive 部門、およびウォリック大学の WMG の4社の専門知識を組み合わせて、技術革新と高度な電動バイクを開発する『プロジェクトトライアンフTE-1』と呼ばれる2年計画に取り組みフェーズ4を完了しています。

参考:『Project-triumph-te-1

2.二輪車産業政策 ロードマップ2030

経済産業省は、二輪車産業の成長を促進するために「二輪車産業政策 ロードマップ2030」を発表しています。2014年に設定されたロードマップ2020の目標である国内販売100万台には達成できませんでしたが、世界市場でのシェアは50%以上に伸長しました。2020年に入り、カーボンニュートラルへの対応や、新たなモビリティの形成を目指す課題に取り組む新たな目標が設定されました。ロードマップ2030の具体的な目標には、2050年までに事故死者数をゼロにするために二輪事故死者数を半減させること、新たなモビリティの出現に伴い、二輪車の有用性認知度を35%まで向上させること、レンタルシェアの成長を促進し、認知度を70%向上させることが含まれています。このロードマップは、日本の二輪車業界が成長し続け、新たな課題に取り組むための指針となるでしょう。

リンク:『二輪車産業政策 ロードマップ2030

6. 輸入二輪車インポーターの求人の探し方

各輸入車インポーターのホームページに求人を掲載している場合もありますので、ホームページから問い合わせいただくことも可能ですが、企業によっては規模が10人程度の場合もあるため、採用求人を積極的に公開しておらず、非公開求人として募集がかかっていることがほとんどです。

Turnpoint Consultingでは、自動車/モビリティ業界に特化しているため、そのような非公開求人も網羅してご紹介することが可能です。

また、日系完成車メーカーや部品メーカー、モビリティサービス企業、コンサルティング企業など、ご経験に合わせてモビリティに関連する様々な求人を取り扱っております。
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監修:ターンポイントコンサルティングメディアチーム(担当:近藤 真太朗)
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