自動車業界向け面接対策

自動車業界の面接対策として準備しておくべきポイントをここでは解説していきます。基本的な業界知識から質疑応答の対策まで面接の前に一度確認しておきましょう。

1.自動車業界トレンド

1. CASE(Connected、Autonomous、Shared service、Electric):とは

CASEは、自動車業界の未来を指し示す鍵となる要素で、Connected |コネクティッド、Autonomous | 自動運転、Shared service | シェアリングサービス、Electric |電動化の頭文字を取った造語です。Connected(コネクティッド)は、車両とインターネットの接続を強化し、リアルタイム情報の提供や遠隔監視を可能にします。Autonomous(自動運転)は、自動車が人間の介入なしに運転できる技術を指します。Shared service(シェアリングサービス)は、車両の共有利用を促進し、所有から利用への移行を推進します。Electric(電動化)は、環境への配慮とエネルギー効率向上のために電動車の普及を推進します。

2. 電動化の加速

持続可能な未来への移行に向けて、上記CASEの中でも電動化は日本を支えてきた自動車産業の企業存続にも影響する重要なトピックです。2050年カーボンニュートラル宣言に従い、電動車の普及や再生可能エネルギーへの転換に力が入れられています。

  • 競争激化と新興メーカーの台頭:自動車業界における電動化競争は激しく、特に新興の電動車メーカーが急速に成功を収めています。Teslaは電動車市場でリーダーシップを築き、その技術革新と市場投入スピードで注目されています。また、中国のBYDやNIOなどの企業も、国内外で電動車の市場シェアを急速に拡大しています。
  • 次世代バッテリー技術の開発 : 自動車メーカーは、リチウムイオンバッテリー以外のバッテリー技術にも注力しています。特に、全固体電池やバイオ電池の研究開発が進行中で、これらの技術は高いエネルギー密度と安全性を提供する可能性があります。これにより、電動車の航続距離や充電速度が向上することが期待されています。
  • 日本メーカーの電動化戦略:日本の自動車メーカーは、競争力を維持するために電動化へのシフトを進めています。
トヨタ

トヨタは「カーボンニュートラル社会の実現」に向けて30年までに30車種のEVを展開し、年間350万台のEVを販売、グローバルに乗用・商用の各セグメントにフルラインでそろえるといった目標を掲げ、燃料電池車(FCEV)やハイブリッド車(HEV)など、さまざまな電動化技術を提供しています。

日産

日産はルノーとの新たな関係を発表し、2030年に向けてEVとコネクテッド・モビリティーに注力し、5つのEV専用プラットフォームから35車種のEVを投入、26年までにプラットフォームの共用化率を80%などの目標を立てています。

ホンダ

ホンダはEV戦略に本軸を切り替え、40年にEVと燃料電池車(FCV)の販売比率をグローバルで100%にし、さらにソニーとの協業により、SDV(ソフトウェアディファインドビークル)開発も進めています。

(2023年9月現在)

3.MaaS(Mobility as a Service)

MaaSは、公共交通機関や個人の移動手段をシームレスに統合するサービスを提供するもので、高齢化社会や都市の交通混雑への対応として、重要なトレンドとなっています。

4.半導体不足

半導体不足は、自動車業界に大きな影響を与えており、その要因は多岐にわたります。新型コロナウイルスパンデミックの初期に一部の半導体工場が一時的に閉鎖されたことや、国際的な紛争、アメリカの禁輸措置などが影響しています。また、電動化や自動運転技術、サイバーセキュリティなどの技術開発に伴い、半導体の需要が増加しています。日本政府も安定供給のためのサポートを行い、各自動車メーカーは内製化などの対策を進めています。

2.自動車業界の構造

製造メーカーだけでなく、今では様々なプレーヤーがあらゆる角度から介入していることで自動車業界が変化しつつあります。消費者へのサービス観点では、自動車メーカーのみが提供しているわけではありません。ディーラーなど販売店やアフターサービスに加えて、月額制のサブスクリプションモデルオンライン販売、カーシェアなど手掛ける自動車メーカーや事業会社が増えてきました。

技術開発においても、自動運転技術から、コネクティッドサービス電池開発セキュリティ面など製造メーカーのみならずITやソフトウェア企業の介入も増えてきました。

自動車業界構造図

日系完成車メーカー : トヨタ/日産/ホンダ/スバル/マツダ/スズキ/ダイハツ など

外資完成車メーカー:メルセデスベンツジャパン/フォルクスワーゲンジャパン/BMWジャパン/ボルボジャパン/ステランティスジャパン/ジャガーランドローバージャパン/ポルシェジャパン/ゼネラルモーターズジャパン など

日系部品メーカー:デンソー/アイシン/日立製作所/三菱電機/住友電気工業 など

外資部品メーカー:ボッシュジャパン/コンチネンタルジャパン/ZFジャパン/ヴァレオジャパン/シーメンズ/マグナインターナショナル/フォルヴィア など

• MaaS関連:Uber/DiDi/Grab/三井不動産リアルティ/タイムズモビリティ など

• ITサービス:IBM/Google/百度/日立製作所 など

• AI・半導体・バッテリーセンサーなど:Mobileye/NVIDIA/HERE/CATL/村田製作所/ソニー など

• コンサルティング(リサーチ):アクセンチュア/PwC/デロイト/EY/ベイカレント/アビーム/JDパワーなど

• 保険・ファイナンシャルサービス:(各完成車メーカー子会社)ファイナンシャルサービス/プレステージ・インターナショナル/東京海上日動

• 商社:伊藤忠商事/明治産業/三井物産/豊田通商/住友理工/丸紅

3.企業についてリサーチする

面接前に、面接を受ける会社のビジョン、価値観、そして企業文化を理解することは、成功する面接の鍵となります。また、これによってなぜその会社が自身のキャリア目標とマッチするのかについての準備も進めることができます。

ただし、企業についての情報は、求人広告や公式ウェブサイトだけでは得られないことも多いです。そのため、オンライン上には公開されていない情報や、現場の雰囲気、実際の働き方についての洞察を得るために、情報収集の手段を広げることが大切です。

Turnpoint Consulting では、各企業ごとの面接対策から、選考に関するアドバイス、さらには実際にその企業で働く方々からの貴重な情報提供まで、業界特化のサポートを提供しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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4.業種ごとの面接ポイント

1.完成車メーカーを受ける際のポイント

日系完成車メーカーへの応募

日系完成車メーカーは、日本を拠点にし、グローバル市場で幅広い役割を果たしています。販売戦略、技術開発、生産戦略など、多岐にわたる職種が存在し、会社全体を支えて成長しています。面接前には、各自動車メーカーの中長期ビジョンを確認し、それぞれのビジョンや強みを理解しておくことが重要です。競合他社との違いや、どの市場で強みを発揮しているか、技術開発の現状と将来性などを把握しましょう。

外資完成車メーカーへの応募:

外資完成車メーカーは、本国のグローバル本社との連携を強調し、日本市場での売上を伸ばすことが最重要な目標です。日本市場において会社を成長させるために、応募するポジションに合わせて、自身がどのように貢献できるかを考えましょう。本国との連携強化や市場拡大に向けた具体的な計画やアイデアを面接でアピールすることが大切です。

弊社では業界専門コンサルタントが面接対策を含め包括的にサポートしています。

自動車完成車メーカーでの転職をご検討の方はお気軽にお問い合わせください

2.自動車部品メーカーや技術開発企業への応募:

これらの企業に応募する際にも、まずは各企業のビジョンや強みを把握することが肝要です。自動車部品メーカーおよび技術開発企業は、自動運転、電動車のバッテリー技術、コネクティッドサービスなど、新しいテクノロジーへの投資が不可欠です。完成車メーカーと比較すると、部品メーカーは一つの技術に対してより多くの資金を投じることができます。したがって、各企業がどの技術に注力し、なぜその技術に力を入れているのかを理解し、自分がその企業に入社する動機を説明できるようにしましょう。

また、部品メーカーに応募する場合、以下の二点にも注意が必要です。

  • 完成車メーカーとの調整・マネジメント力

完成車メーカーとの連携において、スケジュールに対するプレッシャーや調整が必要な場面が頻繁に発生します。このような状況にどのように対処し、協力するかという点が重要です。自分の調整能力やマネジメントスキルを強調しましょう。

  • 安全への責任感

自動車の安全性は極めて重要であり、品質へのこだわりが求められます。品質管理および安全性に関する責任感を持っていることをアピールできると良いでしょう。

弊社では業界専門コンサルタントが面接対策を含め包括的にサポートしています。

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5.自動車業界でよく聞かれる質問例

仕事面においてご自身の良い点、悪い点はどのような点だと思いますか?

ポイント: この質問には、自己認識や適切な自己評価を示すことが重要です。自己分析ができていることをアピールし、強みや弱みを具体的な事例や経験を通じて説明しましょう。また、弱みに対する克服策や成長への取り組みも示すと良いです。

例: 私の強みは、新しい情報やスキルを吸収し、変化する状況に適応する能力です。以前のプロジェクトでは、新技術の導入が必要な場面で、短期間で必要なスキルを習得し、プロジェクトを成功に導きました。ただし、時には完璧主義に陥り、細かなディテールに時間を費やしすぎることがありますが、最近は時間管理スキルを向上させるためのトレーニングを行っており、効率的な作業に取り組んでいます。

なぜ特に当社で働きたいとお考えですか?

ポイント: ここでは熱意と企業の事前リサーチを通じた企業に対する理解を強調しましょう。会社の特定の魅力や文化、価値観に焦点を当てて、なぜその企業が自分に合っていると感じるのかを明確に説明します。競合他社ではなく、なぜ貴社なのかという観点を持って回答できるように準備を進めましょう。

決まった期間内で結果を求められることも多いと思いますが、どのようにプレッシャーに対応されています?

ポイント: プレッシャーに対処する能力を強調し、ストレス管理と時間管理のスキルをアピールしましょう。具体的な事例やアプローチを説明して、プレッシャー下での効果的な行動を示します。

例:

期間内での結果を求められる状況には、以前の経験から臨機応変に対応してきました。例えば、前職で急なプロジェクトに取り組む際、三つのポイントを重視しました。

    1. タスクの細分化と優先順位付け: 緊急性の高い部分から取り組むことで、効率を最大化しました。
    2. ストレス管理: 定期的な休憩とチームメンバーとのコミュニケーションを通じて、ストレスを軽減しました。
    3. チーム協力: チーム全体で協力し、問題が生じた場合には迅速に対処しました。

結果的に、期限内にプロジェクトを完了し、クライアントから高い評価を得ました。この経験から、プレッシャーに冷静に対処し、効果的な行動を起こす能力を養い、チーム協力の重要性を再確認しました。

今まで問題を解決しなければいけなかった事例を教えてください。

ポイント: 問題解決能力と行動力を強調し、経験に基づく具体的な事例を提供します。課題をどのように捉え、どのように行動したかを詳しく説明します。また、チームプレーヤーかどうかも示すことができます。

  1. 具体的な事例を選ぶ: できるだけ具体的な問題事例を選びます。模範的な経験、成功したプロジェクト、または挑戦的な状況など、明確な出来事を述べましょう。
  2. 問題の捉え方: 問題をどのように捉えたかを説明します。問題の本質を的確に把握し、その重要性や影響を示唆します。
  3. 行動とアプローチ: 問題に対処するためにどのようなアクションを起こしたかを具体的に示します。どのように問題解決に向けて計画を立て、実行しましたか?チームメンバーやリーダーとの協力についても触れましょう。
  4. 結果と成果: 行動の結果、問題が解決されたか、あるいは改善されたかどうかを説明します。データや具体的な成果を示し、問題解決の効果を強調しましょう。
  5. 学びと改善: 問題解決プロセスから学んだことや、今後の改善策について触れ、反省と成長への意欲を示すことも重要です。
弊社に入って何を実現したいですか?

ポイント: 入社後のキャリアプランや目標を示し、貢献意欲を表現します。具体的な目標や企業への貢献に焦点を当てましょう。

例:サイバーセキュリティ営業職

入社後、私が実現したいことの一つは、自動車業界におけるサイバーセキュリティの重要性を更に高め、お客様や業界全体に対するリスクを最小限に抑えることです。これには、弊社の製品やサービスの提供を通じて、お客様に信頼性の高いセキュリティソリューションを提供することが含まれます。

また、将来的にはマネージャー職を志向しており、そのためにはリーダーシップやチームマネジメントのスキルを磨く必要があると考えています。弊社は革新的なプロジェクトに取り組む環境が整っており、これらのプロジェクトを率いるマネージャーとして活躍したいと思っています。従業員の成長とチームの成功に貢献し、自動車業界におけるサイバーセキュリティの最先端の知識と実践的なスキルを持ったリーダーになりたいと考えています。

電気自動車に対するあなたの考えを教えてください。

ポイント: 各社電動化戦略は、それぞれ考え方が分かれています。自動車業界で働く一人として業界の動きに目を向けられているか、どんな意見を持っているのかを知りたいという意図があります。

例:

EVは、製造段階から廃棄物処理までのライフサイクル全体(LTV)において、リサイクルや再利用、素材の持続可能性向上などの課題はありますが、環境への影響を最小限に抑えるための研究は着実に進んでいくと思います。もちろん、代替燃料としてのバイオ燃料などの研究も進め、エネルギー供給における多様性も重要だとは思いますが、私の視点からは、将来的には化石燃料が環境に与える影響から考えても、EVが持続可能な選択肢として確実に普及していくだろうと予想しています。日本全体でEVを受け入れられる体制が整い、価格も下がれば、より多くの人々に普及すると思います。そのため、私はEVの普及に向けた課題に貢献し、お客様がEVを手軽に利用できる未来を築くお手伝いをしたいと考えています。

あなたの回答、説得力がありますか?

ご紹介企業に詳しいコンサルタントから、企業ごとでよく聞かれる質問、面接に向けた回答のアドバイスを個別で実施(無料)しています。ぜひお気軽にご相談ください。

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6.最後に

自動車業界は100年に一度の大変革期と言われており、既存の自動車ビジネスモデルから様々なプレーヤーが進出しています。

面接では、他業界出身の方の割合が直近では非常に増えてきています。まずは、基礎知識として自動車業界全体の相関関係を把握し、今後人々の生活やサービスの変化に合わせてどう各プレーヤーが取り組んでいくかを見ていく必要があります。

ますは、企業にとってあなたを採用するメリットを存分に伝えられるよう企業の目指いしている方向性とあなたの経験スキルを端的に伝える必要があります。どれだけスキルがマッチしていても面接でうまく説明できなくては本末転倒です。事前にしっかりと準備をしてから望みましょう。

Turnpoint Consultingでは、企業に合わせて面接官や具体的な質問など、より踏み込んだサポートを提供しています。お気軽にお問い合わせください。

監修:ターンポイントコンサルティングメディアチーム(担当:近藤 真太朗)
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