海外の振興電気自動車メーカー Part 1

電動化の加速による新興メーカーの台頭

自動車業界全体が急速に電動化への転換を遂げるなか、新たな電気自動車メーカーが国際市場に台頭しています。この新興メーカーたちは、モーター、インバーター、そしてバッテリーの3つの主要コンポーネントから成るEVの比較的単純な構造を活かし、独自の特徴と革新的なアプローチで注目を集めています。ここでは、その中でも特に注目すべき新進気鋭の電気自動車メーカーをピックアップし、その特長について探ってみましょう。

CANOO|カヌー

  • 企業情報
    • 企業名: Canoo
    • 本社: Arkansas, U.S.
    • 設立: 2018
    • CEO: Tony Aquila
    • 日本法人:なし(2022年8月時点)

<出典:Canoo 公式Website

♦ 目的に合わせて取り付け可能なプラットフォーム

Canooはアメリカに本社に置く電気自動車を製造する商用車メーカーです。注目すべきは、パワートレインで土台となるスケートボードのような基盤を独自に開発し、目的に合わせて上部を取り付けることでピックアップトラックや様々なスタイルに変更ができます。

米航空宇宙局(NASA)は、NASAの月探査計画「Artemis」において、クルーを発射台まで運ぶゼロエミッションEVの提供先として、Canooを選定しています。

<参照:Canoo Website

THE MULTI-PURPOSE PLATFORM | ELECTRIC VEHICLES | CANOO

TESLA|テスラ

  • 企業情報
    • 企業名: TESLA, Inc.
    • 本社: Austin, Texas, U.S.
    • 設立: July 2003
    • CEO: Elon Mask
    • 日本法人:あり

<出典:Tesla 公式Website

♦ 自動車業界の Game-Changer

TESLAは、もはや新興メーカーとは呼び難い存在ですが、自動車業界においてEV専門メーカーとして大きな影響を与えてきた企業として言及せざるを得ません。創業者であるElon Muskのカリスマ性は広く知られ、今回はその一面に焦点を当てるのではなく、TESLAがビジネス面でどのようにユニークであり、なぜこれほどまでに世界的な企業に成長したのかについて、いくつかのポイントを紹介してみましょう。

Mission|ミッション

”To accelerate the world’s transition to sustainable energy”「持続可能な輸送手段の出現を加速させること」 

1.ディーラーを介さない直接販売

他の自動車メーカーがフランチャイズ・ディーラーを通じて販売するのとは異なり、消費者に直接販売しています。販売チャネルを自社で持つことで、製品開発のスピードで優位に立てると考えています。

また、より良い顧客購買体験を生み出すため、カーディーラーとは異なり、テスラのショールームには潜在的な利益相反がありません。

2.充電設備とスーパーチャージャー

日本市場では、まだまだ設備数は少ないのが現状ですが、テスラはグローバル全体で3万台以上のスーパーチャージャーのネットワークを構築しており、ドライバーはガソリンの数分の1の価格で15分程度でテスラ車を充電することができます。もちろん、その目的は、電気自動車をより安く、より簡単に走らせることで、電気自動車の普及を加速させることにあります。

3.自動運転技術

スマートフォンでも、何か新しい機能が追加されるとソフトウェアの更新があるように、TESLAもOTAという技術を使い、2012年のモデルSセダンの発売時から自動車のソフトウェア更新を業界で初めて導入しています。そのため自動運転技術に関しても、ソフトウェアアップデートを通じて継続的に機能が向上するよう設計されています。

<参照:TESLA

∗ VoiceCommands 

Faraday Future|ファラデ―・フュ―チャ―

  • 企業情報
    • 企業名: Faraday Future
    • グローバル本社: California, U. S.
    • 設立: 2014
    • CEO: Carsten Breitfeld
    • 日本法人:なし(2022年8月時点)

♦ ユーザーに焦点を当てたFFインテリジェントアプリ

FF インテリジェントアプリのユーザーは、IDを作成し、限定試乗会を予約したり、ロサンゼルスにあるFFのグローバル本社のツアーを予約することが可能です。FF Intelligent APPは、FFのオーナーとのエコシステムの価値を共創し、共有するためのソーシャルコミュニティとして非常に重要なプラットフォームでもあります。

ユーザー(オーナー)は製品について更に学び、顧客の声に直接耳を傾けることができるという点も、FFの特徴の一部です。ユーザーとファンはアイデアや考えを共有するソーシャルコミュニティの側面に加えて、独自のFuturist Product Officer (FPO) プログラムにサインアップし、FFの役員や従業員と直接対話してアイデアを共有することも可能です。

<参照:Faraday Future

FF Intelligent App

新規登録

Polestar|ポールスター

<出典:Polestar 公式Websie

  • 企業情報
    • 企業名: Polestar
    • グローバル本社: Gothenberg, Sweden
    • 設立: 1996
    • CEO: Thomas Ingenlath
    • 日本法人:なし(2022年8月時点)

<出典:Polestar 公式Website

♦ 設立の背景

ポールスターは1996年に「フラッシュエンジニアリング」として設立され、当初はボルボチームがスウェーデン・ツーリングカー選手権(STCC)で優勝するためのレースカーを製造することを目的としていました。成功を収めたことで、初の一般向け生産モデルであるボルボS60ポールスターを2013年にリリースし、わずか100台の限定モデルとして市場に投入しました。

その後、2014年にはボルボS60とV60ポールスターが世界8カ国の市場で発売され、大規模なグローバルデビューを果たしました。ボルボは2015年にポールスターのパフォーマンス部門を買収し、ポールスターは独立したレーシング部門としてシアン・レーシングとして存在し続けました。

ボルボの傘下に入ったポールスターは、パフォーマンスとコントロールのバランスを追求し、完璧なドライバビリティを提供することを目指しました。2017年からは、電気パフォーマンスカーブランドに転換し、新興国市場でのイノベーションに焦点を当て、視覚的にも性能的にも印象的な、ますます効率的なパフォーマンスカーの製造に力を注いでいます。今後、日本市場への進出が期待されています。

<参照:Volvo |What is Polestar ?

∗ Rapid Growth of Polestar: What to expect

RIVIAN|リビアン

  • 企業情報
    • 企業名: RIVIAN
    • グローバル本社: Irvine California, U.S.
    • 設立: June 2009
    • CEO: RJ Scaringe
    • 日本法人:なし(2022年8月時点)

<出典:RIVIAN 公式Website

♦ 設立の背景

RIVIANは、もともと2009年にメインストリームモーターズとして、MIT出身でエンジニアリングとリーン生産方式を学んだCEOのRJ・スカリンジによって設立されました。スカンジーはフロリダ州メルボルン近郊で育ち、隣人と一緒に車の整備をしたり、ハイキングや探検など屋外で過ごすことが多かったようです。

大人になるにつれ、ハイキングのために自然の中を何マイルも走っている自分に気づき、自分が守りたい環境の汚染に加担していることを自覚し、この会社を立ち上げたようです。

2015年までに、リビアンはカリフォルニア州のベイエリアとミシガン州で研究施設を運営するのに十分な資金を獲得し、施設は中西部のサプライヤーに近い場所にあるRivian本社の本拠地となりました。その後、自動車メーカーは、アウトドア向けに作られた電気自動車の全体的なエコシステムに製造の焦点を移しました。

2017年初頭までに、同社はイリノイ州ノーマルにある旧三菱の施設の購入し、北米の製造拠点としました。その結果、当時の総従業員数は200人に満たなかったものの、イリノイ州南部に雇用をもたらしたとして、州政府から補助金や税制優遇を受けることにもなりました。

2017年末には、リビアンは2台のアルファプロトタイプが完成したと発表し、それから1年も経たないうちに、LAオートショーでピックアップ「R1T」とSUV「R1S」がデビューし、2020年に生産を開始しました。

<参考:electrek

♦  アウトドア向けのユニークな仕様

ハイキングや探検などアウトドア好きの社長が設立したこともあり、Rivianは車の仕様や特性が話題になっています。着脱式のBluetoothスピーカー兼ランタン兼充電器がついていたり、以下の動画にある水に濡れても問題のないブレスレット型のカギであったりとアウトドアのために考え抜かれた車両設計になっています。

∗ Keys | The durable, shareable, submersible gear to access 

併せて読みたい⇒「これだけは知っておきたい電気自動車の市場動向」

電動化に向けた市場の動向、世界と日本での電気自動車の現状や課題などデータをもとにまとめています。

Lucid Motors|ルシッド・モ―タ―ス

  • 企業情報
    • Company Name:Lucid Motors
    • Head Quarter: Newark, California, U.S.
    • Founded: 2007
    • CEO: Peter Rawlinson
    • 日本法人:なし(2022年8月時点)

<出典:Lucid Motor  公式Website

♦ 設立の背景

ルシッドモーターズは2007年に設立され、シリコンバレーに近いカリフォルニア州ニューアークに本社を構えています。もともとはAtieva社として、他の自動車メーカー向けにバッテリーや電動パワートレインの開発に注力していましたが、最終的には米国内だけでもコアとなるバッテリーシステムに関する特許を50件以上取得しました。やがて、同社の中核となる電池システムに関する特許は、米国内だけで50件以上蓄積されるようになりました。

2013年には、コネクテッドバッテリーパックと電動パワートレインの生産で高い能力を持つようになり、自社で自動車を開発することをちらつかせるようになりました。そこで、これまでテスラで車両エンジニアリング担当副社長とモデルSのチーフエンジニアを務めてきたピーター・ローリンソンが最高技術責任者(CTO)としてチームに加わりました。

2014年、ルシッドは独自の完成車両を開発するために、9桁の資金を集めました。現在も出資者であるVenrock、三井物産、ジャフコといった企業が出資しました。ルーシッドのウェブサイトによると、その後、アティエバ・チームは、900馬力のパワートレインのカスタム・テスト車両を製作したようです。外見上は普通の車ですが、時速60マイルに3秒程度で到達し、「現在の航続距離制限をはるかに超える航続距離」を実現しています。

<参考:erektrek link>

♦ アフターサービス

ライブサポート付きのロードサイドアシスタンスは、24時間365日利用可能で目的地までの相乗りや代車の提供などのサポートがあるようです。定期点検では、必要な場所まで駆け付けるMobile Serviceも提供しています。

Lucid Studio Retail Experience | Lucid Motors

Zoox|ズークス

  • 企業情報
    • 企業名:Zoox, Inc
    • グローバル本社: Foster City, California, U. S.
    • 設立: 2014
    • CEO: Aicha Evans
    • 日本法人:なし(2022年8月時点)

<出典:Zoox 公式Website

♦ 会社概要

Zooxは、自律走行型モビリティの開発に取り組むAmzonの子会社です。自動運転の電気自動車とそれを支えるエコシステムを提供している自律走行EVタクシーメーカーといえます。ゼロエミッション車を設計し、複雑な環境におけるMobility-as-a-Serviceを創造しています。運転席はなく、完全な自動運転車で人々の移動を支えます。

CEOであるAicha Evansは、セネガル出身の女性で、前職はIntelで12年間、Bluetooth、無線LAN、XMMレジスタ、5Gなどの技術を活用した無線エンジニアリングプロジェクトを専門にリードし、その後、ZooxのCEOに着任しました。自律走行車技術企業では初のアフリカ系アメリカ人女性CEOです。MaaSのロボタクシーとして日本に参入する可能性はあるのかこちらも注目です。

♦ AWSを採用し、市場投入までの時間を短縮

自動運転における車両の開発と生産において安全性を検証するには、膨大な数の様々な運転シナリオをシミレーションすることが不可欠です。ZooxはAWSを活用し、快適で安全な自動運転システムを作るための重要な要素である、センサーのパーセプション、機械学習、運転シナリオのシミュレーションが高速化しています。

AWS で大量のデータを高速かつコスト効率よく取り込み、大規模なシミュレーションを実行するハイブリッドインフラストラクチャを構築し、自動運転車のテストと開発を高速化してきました。

<参照:AWS ZOOX

∗ Zoox Life

♦ 最後に

電気自動車の新興メーカーを一部取り上げてみていきました。どの新興メーカーも様々な特色を持ち、それぞれの強みを持っています。今後どの企業がよりグローバルにもシェアを獲得していくか。日本市場に展開されるメーカーはあるのか注目していきたいところです。

併せて読みたい⇒「外資自動車メーカーの市場シェアを探る」

日本市場における外資自動車(輸入車)メーカーのマーケットシェアについてまとめています。また海外市場と比較した海外ブランド割合でも興味深いデータが出ています。