外資自動車メーカーの市場シェアを探る


♦ 2021 年までの外資自動車(輸入車)メーカー統計


日本市場における販売台数(登録台数)の統計データをみると、バブル崩壊後の1995年、1996年に乗用車は歴代で全盛期を迎え、39万台近くになりました。商用車(貨物・バス)においても1996年に3.5万台近くまで販売台数を伸ばし全盛期を迎えました。

2008年9月にアメリカで起きたリーマンショックの影響で、アメリカ大手自動車メーカーのクライスラーは倒産し、GMも政府資金援助が行われる大打撃となり自動車業界全体に大きな影響を与えました。日本市場における輸入車の販売台数にも影響していることが分かります。

乗用車の輸入車登録台数の推移
商用車の輸入車登録台数の推移

参照JAIA(日本自動車輸入組合)をもとに作成


♦ 2021 年までの外資自動車(輸入車)メーカーの日本市場シェア変遷


日本市場における新車登録の統計データをもとに作成した動画をご覧ください(日系自動車メーカーを含む)。フォルクスワーゲンは1990年頃まで約30年の間、最大の市場シェアを獲得していましたが、その後メルセデスベンツとの首位争いに突入、2000年から2014年まで再びフォルクスワーゲンが最大の輸入車ブランドになりました。

2015年以降メルセデスベンツが販売台数を伸ばし、2021年時点では日本市場において最大の輸入車ブランドの位置を確立しています。

参照JAIA(日本自動車輸入組合)をもとに作成

<参考情報1|フォルクスワーゲングループについて 各ブランドの変遷>
  • 1964年|アウディ(ドイツ)が傘下に加入
  • 1991年|シュコダ・オート(チェコ)が傘下に加入
  • 1993年|セアト(スペイン)を完全子会社化
  • 1998年|ベントレーモーターズ(イギリス)が傘下に加入|ブガッティ・オトモビル(フランス)を完全子会社化
  • 1999年 |ランボルギーニ(イタリア)がグループ傘下に加入
  • 2008年|ポルシェ(ドイツ)が傘下に加入
  • 2012年|ポルシェ(ドイツ)を完全子会社化
  • 2014年|スカニア(スウェーデン)を完全子会社化
<参考情報2|海外拠点から輸入される国産車>

輸入車の統計であるにも関わらず、推移をみると国産車メーカーが度々上位にランクインしています。この逆輸入とも言われる国産車の海外生産拠点は、以下の通りです。

日系自動車メーカーの国内輸入台数と海外生産拠点一例

  • 日産 43,872台|Kicks(ブラジル|メキシコ)March(メキシコ)Logan&Sandero(アルゼンチン)
  • トヨタ 27,340台|Avalon(米国)Camry(タイ)トヨタDyna(インドネシア)C-HR(トルコ)
  • ホンダ 6188台|Civic(カナダ)英国工場は休止|Fit(台湾)HR-V(インドネシア)Acura(米国)※中国でのアキュラは2022年に生産中止。
  • マツダ 2860台|Mazda2(メキシコ)
  • 三菱 2619 台|Coltは2023年より復活(トルコ)PajeroSport(インドネシア)
  • スズキ 1594台|Maruti Suzuki(インド)Suzuki Ertiga(インドネシア)
  • ダイハツ327台|Sirion(マレーシア)

参照:Marklines

併せて読みたい⇒「輸入車インポーターで働くには?外車メーカーで働くための基礎知識」

海外ブランドの自動車は、海外メーカーや代理店契約を結んでいる輸入車インポーターによって日本市場に流入し、ディーラーや販売店によって販売されています。外資自動車メーカーで働く上での、今後の市場予測や必要な英語力、輸入車インポーター一覧をまとめています。


♦ 日本市場での輸入車市場シェア


日本市場は圧倒的に日本車がシェアを占めていると言えます。

2021年の日本全体での新車販売は444万8,340台(前年比 3.3%減)でした。そのうち輸入車メーカー四輪車の販売は259,752台(前年比 1.4%増)となっています。全体で見ると輸入車の割合は、わずか5.8%となっています。

EV車の割合を見てみると、輸入車のうちわずか3.3%であるものの、、前年の約2.7倍となる8,610台と着実に台数を伸ばし、2022年もラインナップの増加などを背景にその傾向は続いています。

2021 年 日本市場

輸入車ブランド内訳

※新規登録台数1000台以上|2021年

参照JAIA(日本自動車輸入組合)をもとに作成

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 海外市場での輸入車メーカーの割合

日本市場での輸入車メーカーの市場シェアが分かったところで、海外市場についてはどのようなシェアになっているでしょうか。2021年のデータを参考に今回はアメリカ、ドイツ、韓国の市場をみていきます。


♦ 北アメリカ市場


アメリカにはその広大な土地柄、日系企業も含めて多くの海外自動車メーカーが生産工場を構えており、輸入車メーカーのシェアの割合は比較的高いと言えます。アメリカ国産メーカーは、General MotorやFordに加えて、Teslaが急成長しており現在はアメリカ国内市場のシェアも拡大していくことが予想されます。

2021 年 アメリカ市場 

Data : Cars & Light Trucks exclude Medium & Heavy Trucks

参照:Marklinesをもとに作成)


♦ ドイツ市場


ドイツ市場ではVolkswagen、Daimler、BMW、Stellantis で市場の半数以上を占めるデータが出ています。Stellantisのシェア(11.2%)のうち半数以上(161,836台)はドイツのオペルブランドが獲得しており、やはり自動車産業大国としてドイツ車は国内でも人気が高いことが分かります。

2021 年 ドイツ市場

参照:Marklinesをもとに作成)


♦ 韓国市場


韓国市場も非常に興味深いデータが出ています。Hyundai 、KIAが合わせて75%近くの市場シェアを獲得しており、韓国での国産車人気は日本と似ており非常に高いことが分かります。

一方で輸入車メーカーではドイツブランドが圧倒的な人気を誇り多くのシェアを獲得しています。

2021 年 韓国市場

<注記>

  • GMとRanultは韓国に生産工場を構えています。
  • Renault KoreaはNissan Rogueを含むデータとなっています。
  • GM KoreaはCadillacを除いたデータです。

参照:Marklinesをもとに作成)


♦ 最後に


日本市場における外資自動車メーカーの販売(登録)台数の推移やブランド別のシェアに加えて、アメリカ、ドイツ、韓国市場でのそれぞれの国産メーカーと海外ブランドの割合を見てきました。

海外ブランドの自動車生産工場が世界中の様々な拠点に置かれている一方で、日本市場は外資自動車メーカーの生産拠点は一つもありません。日本は国産メーカーの人気が非常に高い市場であり、海外自動車メーカーにとってはチャレンジングかつユニークな市場であることが分かりました。

電動化に急速に力を入れている海外自動車メーカーも増えてきています。今後は、日系自動車メーカーの電動化の動向に加えて、外資自動車メーカーの電動車がいかに日本市場でシェアを伸ばしていくかにも注目です。

併せて読みたい⇒ 「海外の新興自動車メーカー Part 1 」

各自動車メーカーも急ピッチで電動化を進める中で、新しく電気自動車を製造する新興メーカーが海外市場ではいくつか出てきています。勢いのある新興電気自動車メーカーをいくつかピックアップし特徴を挙げていきます。

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電動化に向けた市場の動向、世界と日本での電気自動車の現状や課題などデータをもとにまとめています。