EVバッテリーの現状とこれから|バッテリーコスト、査定基準、再利用から次世代の可能性まで
情報化社会の現代、私たちの生活は様々な「データ」に転換されています。自動車業界もその例外ではありません。顧客の価値観やバリューチェーン上のデータを商品やサービス開発に活用することが、競争優位性を築くカギとなっています。
データサイエンスとは、このデータを整理・分析してビジネスに有効活用する学問です。そして、データサイエンティストはこの役割を担う専門家です。
◇なぜ今データサイエンティストが注目されているのか?
ビッグデータ時代の最中、AIやIoTにまつわる業務に対応できる人材が必要不可欠だからです。自動車業界のみならず、幅広い業界から高い注目を集めており、転職市場においては引く手数多な存在です。
データサイエンスの分析プロセスは、以下の5つのステップで行われます:
1. 問題定義:分析対象となる問題を明確に定義
2. データ収集:必要なデータを収集(外部からの調達も含む)
3. データ整理・前処理: 収集したデータを分析に適した形式に加工
4.分析: 統計的手法や機械学習アルゴリズムを用いて答えを導出
5.可視化・報告:分析結果をグラフや表を用いて直感的に理解しやすい形で報告
これらの手順を踏むことで、データサイエンスによる分析結果が得られます。なお、問題に応じてプロセスは調整されることがあります。
自動車業界では、データサイエンスが様々な場面で活用されています:
🔳新ビジネス・サービス化・シェア拡大(顧客開拓・維持): 市場動向や顧客ニーズの把握による事業設計(事業計画・経営)
🔳収益向上: 顧客データ分析によるマーケティング戦略の改善(販売・マーケティング)
🔳生産性向上: 生産ラインのデータ分析による製造工程の管理
🔳業務の効率化(省力・自動化): 物流データの分析による供給・物流管理の最適化
🔳設計・開発: シミュレーションやテストデータの分析による車両性能の最適化
これらはあくまで一例で、実際にデータサイエンスは自動車製造業においてさらに多くの分野で活用されています。
Volvo Carsは80%以上がコネクテッドカー。コネクティッドテクノロジーから収集できる事故や故障のデータを分析し、車の故障を予測するなどサービス向上につなげています。
生産工程において製造機械自体のデータを収集し、より正確かつ故障を未然に防ぐためにデータを活用しています。また、バリューチェーンのデータの分析を行うことで、生産とロジスティクス(物流)における品質の向上やシステムの可用性の改善など、生産システムの強化に役立てています。
一般社団法人データサイエンティスト協会によると、データサイエンティストに必要なスキルは以下の3つです:
数理統計学の知識:統計学や確率・行列・微積などの数理統計学の知識をベースにデータに隠された意味を説明し、ビジネス課題に有効な知見を獲得します。
データの収集スキル:層化抽出法や段階抽出法、クラスター抽出法などのデータ収集方法の特質を理解して使い分け、効率的にデータを収集します。
データの加工スキル:対数変換や正規化したり、外れ値や欠損値などを処理したりすることで収集したデータを加工し、分析できる形にします。
データ分析スキル:自動車業界などは経済系では時系列分析を多用してデータ分析を行います。また、クラスター分析や深層学習など様々な機械学習を行うこともあるため、データや目的に応じて使い分けて分析作業を行います。
データサイエンティストには、データサイエンスで取り扱う膨大なデータを「ビジネス課題に有効処理」として扱える状態に処理する力も必要です。
プログラミングスキル(Python, Rなど)
IT知識(サーバー、ネットワーク、データベースなど)
データ加工/共有能力(SQLなど)
データを分析・処理するだけであれば、データサイエンス力とデータエンジニアリング力さえあればいいでしょう。しかし、データサイエンティストには、分析結果を最終的にビジネスにどう活かすのかを提案することまでが求められます。そこで必要となるスキルが、「ビジネス力」です。
ビジネス思考(ビジネスマインド、論理的思考など)
マネジメント能力(プロジェクト管理、リスク管理)
また、これらのスキルを証明する手段として、データサイエンティスト協会認定の「データサイエンティスト検定(DS検定)」があります。
データサイエンティスト検定(DS検定)とは
「データサイエンティスト検定」とは、データサイエンティスト協会認定の民間資格です。
資格を取得することで、上記で紹介したデータサイエンティストに必要な3つのスキル(データサイエンス力・データエンジニアリング力・ビジネス力)、また、数理・データサイエンス・AI教育のリテラシーレベルの実力を証明することができます。
基礎レベルのテストになっているので、これからデータサイエンティストを目指す人やデータサイエンティスト初学者の力試しにおすすめです。
現職からデータサイエンティストへ転職するには、以下の方法があります:
「エンジニア職」はデータを扱う機会が多い点で、データサイエンティストに近い職種と言えます。
実際、データベースエンジニアやシステムエンジニアなどから転職するケースは多くあります。特に、前職でPythonやR言語を用いた経験やデータ処理や情報技術のスキルがあれば、転職は有利になります。
ただし、先に述べた統計学などの必要スキルを身につけていない場合は、それらを補強するための学習やスキルを習得する必要があります。
データを扱いビジネスに生かす専門家である「マーケター」や「データアナリスト」もデータサイエンティストに近い職種です。
マーケターやデータアナリストは市場調査やビジネス課題の抽出を行い、ビジネスに活かす専門家です。データを取り扱う実務やビジネス力はデータサイエンティストとして存分に活かすことができます。
ただし、プログラミングスキルなどのエンジニア力については補強する必要があるでしょう。
データサイエンティストに求められる知識やスキルは低いものではありません。そのため、相当な自己研鑽をしていかない限り、新卒あるいは未経験からの転職は難しい状況です。
しかし逆に言えば、スキルを習得すればデータサイエンティストとして就職・転職する道は開かれるということです。
最近では、データサイエンス系の学部・学科を設置する大学や専門学校が出てきていて、データサイエンティストに必要な知識を学べます。
社会人でも学べるデータサイエンティスト育成講座やプログラムも増えてきています。これらは、オンラインで実施されていたり、政府の給付金も活用できたりするため、働きながら転職先としてデータサイエンティストを目指す人にとって有効な手段となるでしょう。
また、下記はデータサイエンティストにとって使用頻度の高いプログラミング言語です。未経験でデータサイエンティストを目指す場合、具体的にはこのようなスキルを強化することが必要です。
キャリアチェンジプログラムや社内養成プログラムのような社内制度がある企業であれば、それを利用してデータサイエンティストになる方法もあります。
ただし、そういった社内制度を取り入れている企業は少なく、プログラムの適用にも厳しい条件が設けられているところが多いため、この方法は狭き門ではあります。
データサイエンティストは比較的新しい職種のため、就職・転職に関する情報が限られています。そのため、以下の方法をおすすめします:
データサイエンティストは、自動車業界の未来を切り開く重要な役割を担っています。キャリアチェンジを考えている方は、ぜひこの成長分野にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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