2022年12月8日 フランス系の外資系企業への転職ガイド| 特徴や求人情報の探し方を紹介
ファッションや芸術など文化のあふれる国「フランス」。外資系企業で働きたいと思っている方の中にもフランスに憧れ、できればフランス系企業に転職したいと考えている人も多いのではないでしょうか。この記事では、フランス企業の特徴や魅力、そしてフランス系の外資系企業への転職方法を紹介します。
1. フランス企業の特徴
ファッションや文化のイメージが強いフランスですが、実は経済に関してもフランスは世界トップレベル。主要産業は自動車、化学、機械、食品、繊維、航空産業で、2022年のGDPは2兆9367億円。ヨーロッパの中ではイギリスに次いでGDP世界ランキング7位に位置しています。
フランス企業の日本進出に関しては、ファッション業界をはじめ製造業など多くのフランス企業が日本に支社を置き市場を開拓しています。日本国内でヨーロッパを親会社に持つ企業は世界の地域別にみて42.6%と最も多く、フランスはヨーロッパの中でドイツに次いで日本への進出企業が多い状況です。
参考:ジェトロ「ジェトロ対日投資報告2021第2章日本のビジネス環境と外資系企業第3節外資系企業による日本のビジネス環境の評価」
フランス企業では「ジェンダーダイバーシティ」がトレンド
他国の外資系企業に比べて、フランス系の外資系企業は特にジェンダーダイバーシティを重視する傾向が強く見られます。
ジェンダーダイバーシティ(Gender Diversity)とは、日本語では一般的に「性の多様性」と訳され、多様な性(セクシュアリティ)のあり方を考えていこうという概念のことを言います。企業にとってのジェンダーダイバーシティは、一般的に「女性の活躍推進」を指し、日本を含む世界中で女性の活躍を推進する動きが広まっています。
フランスはもともと女性の就業率が高いことで知られていますが、近年のパリテ法(政治における男女共同参画を規定した法律)の導入をきっかけに、政界のみならず自動車業界を含む民間企業においても女性の管理職層が増加している傾向にあります。
2. フランス系企業の魅力
フランス系企業の魅力には以下のようなものが挙げられます。
- ワークライフバランスを重視した労働環境
- 個人主義
- 高い給与水準
ワークライフバランスを重視した労働環境
フランス企業の一番の魅力は、何と言ってもワークライフバランスを重視した労働環境にあります。労働とプライベートの時間がきっちりとわけて考えられ、両方のバランスがとれるスタイルが労働環境に反映されています。
こうしたワークライフバランスの重視はヨーロッパ企業に共通して言えることですが、その中でも特にフランスは、「有給休暇が取得しやすく残業時間が少ない」従業員にとって働きやすい環境が整っているケースが多く見られます。
2020年の日本の有休取得率が45%であるのに対し、フランスは83%。こうした数値からも日本とフランスの労働環境の違いがはっきりと見て取れます。
個人主義
フランスは個人主義の国です。個人の価値を重視し、個人の権利を尊重する考え方が根付いています。そのため、仕事に対しても個人がフォーカスされており、会社やチームのためにといった全体主義的な発想はあまり見られません。企業としても個人に仕事の裁量を与えているため、スケジュール管理を含め業務過程で細かく報・連・相する日本のような習慣はありません。
一方で、従業員は任せられた仕事に対しては求められた成果を出そうとするため、責任感を持って仕事に取り組む姿勢が強く見られます。
「フランス人は残業しない」というイメージを抱く人が多いですが、フランス人も残業を選択することはあります。ただしそれば、日本のように、「まだみんなが働いているから」といった意味のない残業ではありません。自身のスケジュール管理の元で任された仕事を全うするために残業を選ぶこともある、というものです。
また、フランスの個人主義文化において、他人との意見の相違による対立は「悪いこと」ではありません。個人の意見や考えをしっかりと持ち、それぞれが自己主張することは重要であると考えられています。
そのため、職場においても自分の意見をしっかりと持ち、他人と異なる意見であっても対立を恐れず発言することが求められます。
高い給与水準
フランス系企業の給与は、一般的に外資ならではの高いレベルにあります。他の外資系企業と同様に、給与は実力主義で決まるため、20代・30代でも800万~1200万円程度の年収を得る人も珍しくはありません。
3. フランス系企業の一覧
日本には自動車産業をはじめ多くのフランス企業が進出しています。ここで、日本に支社のあるフランス系の外資系企業をいくつかご紹介します。
フランス系の自動車関連企業【完成車メーカー】
フランスの主要産業の一つである自動車関連企業では、以下の企業が日本に支社を構えています。
● ブガッティ|Bugatti
※日本ではフランスフォルクスワーゲングループジャパンの傘下で運営
● ステランティス | Stellantis
○ プジョー|Peugeot
○ シトロエン|Citroen
○ DSオートモビル|DS Automobile
● ルノー|Renault
自動車関連のフランス系企業では、近年企業合併や協業が加速しています。
たとえば、プジョー、シトロエン、DSオートモビルのブランドを抱えるフランスのPSAグループは、2021年にイタリア系のFCAと統合し、合計14ブランドを扱うステランティスへと社名を変更しています。
フランス系の自動車関連企業【部品メーカー】
● ヴァレオ|Valeo
● サンゴバン|Saint Gobain
● フォルヴィア(フォルシア)| FORVIA(Faurecia)
● プラスティックオムニウム | Plastic Omnium
● ミシュラン | Michelin
● モチュール|Motul
「フランス系の自動車企業」というとルノーやプジョーが一般的に有名ですが、実は日本にはヴァレオやフォルシアなどの「自動車サプライヤー」も多く進出しています。
自動車サプライヤーとは、自動車の完成品メーカーに自動車のギアやタイヤ、ガラス、カーナビなどを供給する自動車部品メーカーのことで、ヴァレオもフォルシアも世界でのシェア率が高い大手サプライヤーの一つです。
なお、自動車用のシートや社内インテリアを手掛けるフォルシアは、フランスのヘラーと統合し、新たにフォルヴィアというグループへと社名を変えています。日本での事業はそれぞれ独立した法人として運営されていますが、より密接な協力関係が築かれています。
日本支社のあるフランス系企業【その他業界】
● エールフランス【航空】
● BNPパリバ証券【金融・保険】
● ソシエテジェネラル【金融・保険】
● アクサ(AXA)【金融・保険】
● ダノン【食料品】
● LVMHグループ(ルイ・ヴィトンモエヘネシーグループ)【アパレル/ファッション】
● シャネル【アパレル/ファッション】
● エルメス【アパレル/ファッション】
● カルティエ【アパレル/ファッション】
● サノフィ【製薬】
4. フランス系企業に転職する方法
憧れる人が多いフランス系企業への転職ですが、実際に転職するためにはどうすれば良いのでしょうか?
まず語学力に関して言うと、英語力が求められるケースが多く見られます。業種や職種・ポジションによって求められる英語力には違いはありますが、日本に支社を置くフランス系企業では、仕事上のコミュニケーションは英語が基本です。
もちろんフランス語は、フランス人上司や同僚とより親密なコミュニケーションを取るための有効な手段ではあるので、話せるに越したことはありません。
転職活動において最も重要とも言える「情報収集」に関しては、以下2つの方法が有効です。
- 在日フランス商工会議所で探す
- フランス系企業求人を扱う転職エージェントに登録する
♦ 在日フランス商工会議所
在日フランス商工会議所(CCI France Japon)を利用して、フランス企業の日本支社における求人情報を探すことができます。
在日フランス商工会議所は、日本とフランスのビジネス界を結ぶ交流機関として創立された商工会議所です。日本に進出しているフランス企業のほぼ全社とフランスと結びつきのある日本企業が会員として入会しています。
サイトのデータベースに登録することで、日本支社のあるフランス企業の求人情報へのアクセスと応募が可能になります。
また、登録の際に自己PR欄を記入することで、会員企業の採用担当者へ「新規登録者リスト」として配信される仕組みになっています。そのため、場合によっては企業側からスカウトが届くことも期待できます。
在日フランス商工会議所(CCI France Japon):
https://www.ccifj.or.jp/ja/emploi-et-formation/espace-candidats/travailler-au-japon.html
♦ フランス系企業求人を扱う転職エージェント
求人情報の収集には、転職エージェントを利用するのも有効です。大手の転職エージェントであれば求人情報が豊富なので、情報収集元として利用することができます。
もちろん登録したからと言ってフランス系企業への転職が保証されるものではありませんが、登録することで非公開求人を紹介してもらえたり、コンサルティングサービスを受けられたりと恩恵を享受できます。
なお、このサイトの運営会社「Turnpoint Consulting」もフランス系企業の求人を扱うエージェントの一つです。
Turnpoint Consultingでは、モビリティ業界に特化しており企業の採用担当者との距離が近く、求職者のご希望と企業のニーズに合わせて、企業へ推薦を致します。そのため、書類選考の通過率は業界平均より高く、自動車・モビリティ業界における圧倒的な業界知識をもとに、求職者を丁寧にサポート。求職者を理想の転職へと導きます。
5. 最後に
フランス系企業は、残業の少なさや有給休暇の取りやすさなど、ワークライフバランスを重視した働きやすい環境が整っている企業が多くあります。また、個人主義文化が根強く、ジェンダーダイバーシティの考え方も進んでいることから、個人が尊重され誰もが公平にキャリアアップできるチャンスがあります。
フランス系企業へ転職することで、日本にいながらにして日本人とは違った価値観、日本企業にはない習慣で働くことができます。
これを機に、フランス系企業への転職活動を一歩踏み出してみてはいかがですか?