【エージェントが解説】半導体業界への転職ガイド|未経験でも分かる半導体企業の種類・採用トレンド

半導体 基本のキ

半導体とは?


半導体とは、導体(電気を良く通す物質)絶縁体(電気を通さない物質)の両方の特徴を持ち、電子の流動をコントロールする物質や材料のことを指します。電子の流動をコントロールすることで電子機器内において情報を貯蔵、発現させることに使用されるため、パソコンやスマートフォンといった、情報処理を必要とする様々な電子機器に使用されています。

近年は生成AIの発展に伴い、より高い情報処理能力と小型化を両立した半導体への需要が高騰しています。これに応えるべく、世界中の半導体企業が開発に勤しんでいます。しかし、研究・開発に必要な環境を整えられる企業は限られており、世界有数の超大手半導体企業が市場を席巻している状況です。

このような中、各国政府は国を挙げて半導体産業の支援に力を入れていますが、その背景には、半導体が国内産業に与える影響の大きさがあります。あらゆる電子機器に半導体が使用されており、それらの更なる機能向上に、より高性能な半導体の存在が鍵となっています。半導体先進国からの輸入品に頼ることも可能ではありますが、米中貿易摩擦に見られるように、国際関係の変化に伴って規制品の対象となることも多く、他国からの輸入に依存することはリスクが高いです。そのため、様々な国で国内での開発・生産体制の確立が急がれています。

半導体はどのような製品に使われている?


半導体はどのようなものに利用されているのでしょうか? 私たちの身近なスマートフォンやパソコン、家電製品、自動車はもちろん、宇宙空間を飛ぶ人工衛星に至るまで、さまざまな電子機器に組み込まれています。現代の生活や産業を支えるうえで、欠かせない技術のひとつです。

半導体は日常的に使用される電子機器から精密産業機械、最先端AI技術まで、様々な用途で使用されており、具体例を挙げればきりが無いほどです。

その中でも自動車はありとあらゆる機能を持つ半導体を多数搭載しており、その様は「走る半導体」と呼ばれるほどです。

それに加えて、今後より高度な自動運転の実現といった車体の性能向上や、EV(電気自動車)や新型車両(マイクロモビリティ、”空飛ぶクルマ”など)の普及などにより、より多くの高性能の半導体が使われていくことが予想されます。

以下に、代表的な車載半導体のカテゴリーとその機能、今後の技術動向をまとめました。

  • 自動車における半導体の主な用途
カテゴリー 説明
ECU(電子制御ユニット) ・エンジン制御、ブレーキ制御、エアバッグなどの安全装置を司る
・自動車の基本性能と安全性を確保
・ADAS(先進運転支援システム)の普及により、より高性能な半導体が必要
センサー ・車両内外の状況を検知する各種センサーに使用
・自動運転技術の高度化に伴い、より精密なセンサー用半導体の需要が増加
パワー半導体 ・車載システムの電力制御を担当
・特にEV(電気自動車)では、バッテリーからモーターへの電力供給をコントロールする役割がある
・EV市場の拡大に伴って需要が増加
AI半導体 ・自動運転AIの実現を支える
・画像認識や状況判断などにAIが用いられるため、それらの情報処理に不可欠
・自動運転技術の発展や自動運転AIの登用の増加が進んだ場合、需要の増加が見込まれる
車載半導体とMaaS
車載半導体とMaaS:交通の新たな未来を支える技術

こちらの記事では、車載半導体市場の成長とMaaS (Mobility as a Service) の需要拡大を並列し、モビリティサービス内でいかに車載半導体を始めとした半導体技術が使用されているかを解説します。

半導体業界の全体像と有力企業ランキング

半導体関連企業の種類


◇基本構造:半導体メーカーとそれを取り巻くエコシステム

IDM
(Integrated Device Manufacturer)

半導体メーカーとして設計・製造・販売を自社で一貫して行う

半導体装置メーカー

半導体メーカーが使用する装置を製造する

半導体商社

半導体メーカーが製造した半導体を、半導体使用機器を製造するメーカーへ卸す

その他にも

  • 半導体素材メーカー▸半導体メーカーが半導体製造に使用する素材を提供
  • EDAベンダー▸半導体の設計ツールをIDMを提供
  • IPベンダー▸半導体設計のためのIP(知的財産)を提供

といった企業が半導体の製造を支えています。

◇製造委託・受託企業

ファブレス

半導体の開発を行い、製造をファウンドリに委託する形態を取る
例)NVIDIA、Apple、Tesla

ファウンドリ

半導体製造工程における前工程のみを請け行う
例)TSMC

OSAT

(オーサット、Outsourced Semiconductor Assembly and Test)

半導体製造工程における後工程のみを請け行う

ファウンドリの発展

半導体製造の中でも特に工程の多い前工程を受託するファウンドリですが、何故ここまで重宝され、半導体業界の中で規模を拡大しているのでしょうか?それは、半導体工場の設備投資が著しく拡大したことに伴い、自社で一貫して開発・製造を行うことの負担が高まったことに由来します。

ファウンドリの持つ莫大な製造基盤を利用することで、自社内での製造キャパシティを超えた量を生産したり、需給バランスの変化を見越したバッファとしての生産を行ったりと、金銭的負担・リスクを避けつつ積極的に製造を行っていくことができます。或いは、先端技術製品の開発・製品化の実現のためにファウンドリの持つ設備が重宝されることもあります。

また、ファウンドリの持つメリットは金銭的負担の軽減だけではありません。例えばファウンドリ最大手のTSMCは、世界各国に工場を持つことで様々な国での半導体産業発展に寄与し、TSMCもまた世界中に拠点を持つことで国際政治の介入を回避しつつ、安定的に半導体製造を行うことが出来ています。このように、現在ではファウンドリが半導体業界において絶大な存在感を示し、半導体業界全体の発展を担っています。

半導体関連企業 種類・地域別売上高ランキング


◇半導体メーカー(IDM、ファブレス、ファウンドリ)

●世界

1. Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd. (TSMC)

(台湾)


2. NVIDIA Corporation

(アメリカ)


3. Intel Corporation

(アメリカ)


4. SK Square Co., Ltd.

(韓国)


5. SK hynix Inc.

(韓国)


●日本

1. ルネサスエレクトロニクス


2. キオクシアホールディングス


3. 東芝デバイス&ストレージ


4. ローム


5. サンケン電気


◇半導体装置メーカー

●世界

1. ASML Holding NV

(オランダ)


2. Applied Materials, Inc.

(アメリカ)


3. Lam Research Corporation

(日本)


4. 東京エレクトロン

(日本)


5. KLA Corporation

(アメリカ)


●日本

1. 東京エレクトロン


2. SCREENホールディングス


3. アドバンテスト


4. ディスコ


5. アルバック


◇半導体商社

●世界

1. Arrow Electronics, Inc.

(アメリカ)


2. Avnet, Inc.

(アメリカ)


3. WPG Holding Co Ltd

(台湾)


4. マクニカホールディングス

(日本)


5. Supreme Electronics Co., Ltd.

(台湾)


●日本

1. マクニカホールディングス


2. 加賀電子


3. レスター


4. トーメンデバイス


5. シークス


参照:日経バリューサーチのデータを基に作成

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半導体業界における採用トレンド

半導体関連企業にて積極採用中のポジション


◇半導体業界 職種別求人割合

※弊社データベースに基づく。(2025年2月現在)

特に採用強化中のポジション

  • 半導体メーカー:FAE、回路設計エンジニア、プロセスエンジニア、生産管理
  • 半導体装置メーカー:プロセスエンジニア、プロセスインテグレーション、カスタマーエンジニア
  • 半導体商社:国内営業、海外営業、FAE

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半導体関連企業の求人エリア


半導体企業の中には広大な工場を抱えるメーカーもあるため、勤務拠点の置かれる地域は限られています。以下が半導体関連企業の募集が多い都道府県です。

北海道、岩手(北上)、三重(四日市)、広島、熊本、京都、愛知、東京

自動車業界向け面接対策

業界特化型エージェントだからこそ提供できる、キャリアコンサルタント直伝の面接対策ポイントがまとめられています。記事内項目「半導体・ソフトウェアツール企業への転職」を是非チェックしてみてください。

半導体企業へ転職するには

成長の著しい半導体業界では積極的に採用を行っている企業が多く、様々な部門の求人を公開している企業が数多くあります。
しかしながら、その業界全体の成長への期待値の高さや積極採用の流れは人材業界内でも注目が集まっております。
「半導体業界に入りたい!」という気持ちは、理想のキャリアに向けた一歩としては充分ですが、内定獲得を目指すならばそれ以外にも、

    • 半導体に関する基礎知識を頭に入れ、製品や業界への興味を広げる
    • 企業やその製品ごとの特色の違いを充分に理解し、応募の際に志望理由を固める
    • 成長速度が激しい半導体業界の最新事情にキャッチアップして面接に臨む

といった、候補者として差をつける準備が必要となります。

Turnpoint Consultingは半導体領域に特化したコンサルタントが所属しており、専門知識と企業とのコネクションを生かし、より心強い転職サポートをご提供することができます。

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参考文献・記事(外部リンク)

1) 車載半導体の全貌 ─ 半導体はクルマのどこに載り、どう使われているのか?TELESCOPE magazine

2) 半導体を知る東京エレクトロン株式会社

3)日経バリューサーチ

4) 菊地正典『新・半導体産業のすべて: AIを支える先端企業から日本メーカーの展望まで』ダイヤモンド社、2025年