これだけは知っておきたい電気自動車市場の動向
情報化社会の現代において私たちの生活は様々な「データ」に転換されるようになりました。
デジタル化の潮流は自動車業界においても例外ではありません。顧客の価値観やバリューチェーン上のデータをいかに商品やサービス開発に活用するか。データの有効活用、つまり「データサイエンス」こそが、自動車業界における競争優位性を築くカギとなってきているのです。
このデータを整理・分析してビジネスに有効に活用する「データサイエンス」を担うのが「データサイエンティスト」の仕事です。データサイエンティストは、近年のビックデータ時代に必要不可欠な人材として、自動車業界をはじめ幅広い業界から高い注目を集めています。
しかしながら一般的には、職業としての認知度は低く、具体的な仕事内容や役割などは広く知られていない状態です。
この記事を通してデータサイエンスとデータサイエンティストの仕事内容に関して詳しく見ていきましょう。
データサイエンスの分析プロセスは、概ね以下のような手順で行われます。
1. 問題定義
分析対象となる問題を明確に定義します。
2. データ収集
3. データ整理・前処理
収集したデータを整理して、分析に適した形式に加工します。
4.分析
加工したデータを分析して、問題に対する答えを導き出します。このステップでは、統計的手法や機械学習アルゴリズムなどを用いることがあります。
5.可視化・報告
分析結果をグラフや表などを用いて可視化し、直感的に理解しやすい形式で報告します。
このような手順を踏むことで、データサイエンスによる分析結果が得られます。なお、分析プロセスは問題に応じて調整されることもあります。
自動車業界では、データサイエンスが様々な場面で活用されています。
🔳新ビジネス・サービス化・シェア拡大(顧客開拓・維持)
事業企画・経営:データ分析によって市場動向や顧客ニーズなどを正確に把握することができ、それに基づいて成功する事業設計を立てるのに役立ちます。
🔳収益向上
販売・マーケティング: 顧客ニーズや販売データからマーケティング戦略を改善するために、顧客データ分析が行われます。
🔳生産性向上
製造工程の管理: 生産性や品質などを改善するために、生産ラインのデータを分析することがあります。
🔳業務の効率化(省力・自動化)
供給・物流管理: 物流の最適化やコスト削減のために、物流データの分析が行われます。
設計・開発: 車両のパフォーマンスや燃費などを最適化するために、シミュレーションやテストデータの分析が行われます。
これらはあくまで一例で、実際にデータサイエンスは自動車製造業においてさらに多くの分野で活用されています。
Volvo Carsは80%以上がコネクテッドカー。コネクティッドテクノロジーから収集できる事故や故障のデータを分析し、車の故障を予測するなどサービス向上につなげています。
生産工程において製造機械自体のデータを収集し、より正確かつ故障を未然に防ぐためにデータを活用しています。また、バリューチェーンのデータの分析を行うことで、生産とロジスティクス(物流)における品質の向上やシステムの可用性の改善など、生産システムの強化に役立てています。
データサイエンティストには高度な専門知識やスキルが求められます。
「一般社団法人データサイエンティスト協会」では、データサイエンティストに必要なスキルとして、「データサイエンス力」・「データエンジニアリング力」・「ビジネス力」の3つを定義しています。
♦ データサイエンス力(数理統計学・データ処理能力・分析力)
ビッグデータを正しく考察するためには、情報処理や統計学などの情報科学系の知識を適切に応用する力が必要です。
具体的には以下のような知識・スキルが挙げられます。
数理統計学
微分積分や確率・行列・統計などの数理統計学の知識をベースにデータに隠された意味を解明し、ビジネス課題に有効な知見を獲得します。
データの収集スキル
層化抽出法や多段階抽出法、クラスター抽出法などのデータ収集方法の特徴を理解して使い分け、効率的にデータを収集します。
データの加工スキル
対数変換や正規化したり、外れ値や欠損値などを処理したりすることで収集したデータを加工し、分析できる形にします。
データ分析スキル
自動車業界など製造業系では時系列分析を多用してデータ分析を行います。また、クラスター分析や深層学習など様々な機械学習を行うこともあるため、データや目的に応じて使い分けて分析作業を行います。
♦ データエンジニアリング力(データ加工/共有能力・プログラミングスキル・IT知識)
データサイエンティストには、データサイエンスで取り扱う膨大なデータを「ビジネス課題に有効な知見」として扱える状態に処理する力も必要です。
データ分析を行うためには、データを利用できる環境を整える必要があります。つまり、データを加工して分析できる形にし、すぐに取り出せる状態にしなければいけません。
こうした環境構築の際に、プログラミング言語の知識やサーバー・ネットワーク機器・ソフトウェアなど情報システム関連の知識、SQLなどデータベース操作に必要な知識が求められます。
♦ ビジネス力(ビジネス思考・マネジメント能力)
データを分析・処理するだけであれば、データサイエンス力とデータエンジニアリング力さえあればいいでしょう。しかし、データサイエンティストには、分析結果を最終的にビジネスにどう活かるのかを提案することまでが求められます。そこで必要となるスキルが、「ビジネス力」です。
ビジネス力とは、課題背景を理解し、ビジネスにおける課題を整理・解決に導く力を言います。
具体的には、ビジネスマインドや論理的思考といったビジネス思考、プロジェクトやリソース・リスクなどの管理能力が求められます。
データサイエンティスト検定(DS検定)とは
「データサイエンティスト検定」とは、データサイエンティスト協会認定の民間資格です。
資格を取得することで、上記で紹介したデータサイエンティストに必要な3つのスキル(データサイエンス力・データエンジニアリング力・ビジネス力)、また、数理・データサイエンス・AI教育のリテラシーレベルの実力を証明することができます。
基礎レベルのテストになっているので、これからデータサイエンティストを目指す人やデータサイエンティスト初学者の力試しにおすすめです。
現職から転職してデータサイエンティストになるには、いくつかの方法があります。
♦ エンジニアから目指す
「エンジニア職」はデータを扱う機会が多い点で、データサイエンティストに近い職種と言えます。
実際、データベースエンジニアやシステムエンジニアなどから転職するケースは多くあります。特に、前職でプログラミング言語のPythonやR言語を用いた経験やデータ処理や情報技術のスキルがあれば、転職は有利になります。
ただし、先に述べた統計学などの必要スキルを身につけていない場合は、それらを補強するための学習やスキルを習得する必要があります。
♦ マーケターやデータアナリストから目指す
データを扱いビジネスに生かす専門家である「マーケター」や「データアナリスト」もデータサイエンティストに近い職種です。
マーケターやデータアナリストは市場調査やビジネス課題の抽出を行い、ビジネスに活かす専門家です。データを取り扱う実務やビジネス力はデータサイエンティストとして存分に活かすことができます。
ただし、プログラミングスキルなどのエンジニア力については補強する必要があるでしょう。
♦ スキルを習得する
データサイエンティストに求められる知識やスキルは低いものではありません。そのため、相当な自己研鑽をしていかない限り、新卒あるいは未経験からの転職は難しい状況です。
しかし逆に言えば、スキルを習得すればデータサイエンティストとして就職・転職する道は開かれるということです。
最近では、データサイエンス系の学部・学科を設置する大学や専門学校が出てきていて、データサイエンティストに必要な知識を学べます。
社会人でも学べるデータサイエンティスト育成講座やプログラムも増えてきています。これらは、オンラインで実施されていたり、政府の給付金も活用できたりするため、働きながら転職先としてデータサイエンティストを目指す人にとって有効な手段となるでしょう。
♦ 社内養成を利用する
キャリアチェンジプログラムや社内養成プログラムのような社内制度がある企業であれば、それを利用してデータサイエンティストになる方法もあります。
ただし、そういった社内制度を取り入れている企業は少なく、プログラムの適用にも厳しい条件が設けられているところが多いため、この方法は狭き門ではあります。
データサイエンティストは新しい職種のため、就職・転職に関して多くの情報が出回っていない状況です。
そのため、データサイエンティストに就職・転職する際には、転職アドバイザーなど専門家のアドバイスを受けながら転職活動を行うことをおすすめします。
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